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[リポート]ASCO 2007 [07 Summer]
朝鮮ニンジンが患者の疲労を軽減
代替医療・補完医療

2007/07/27
日経メディカルCancer Review

 がん患者に発現するごく一般的な副作用で、かつ患者を衰弱させる疲労の軽減に、朝鮮ニンジン(ginseng)が有効とするパイロット試験の結果が報告された。

 朝鮮ニンジンは、すでに動物実験や逸話的証拠をもとに、活力増強や疲労減退を目的として多くのがん患者で用いられているが、その臨床効果について厳格な検討はなされていなかった。朝鮮ニンジンには幾種類もあり、それぞれ異なる量のステロイド様成分ginsenoidesが含まれているが、今回は、ウィスコンシン産朝鮮ニンジンが用いられた。

 パイロット試験では対象282例が、粉末カプセル製剤の朝鮮ニンジン1日750mg、1000mg、1500mg、プラセボ投与の4群に無作為に割り付けられた。試験開始時、4週時、8週時に疲労レベルを測定。患者背景は、異なる種類のがん患者、試験開始時に化学療法あるいは放射線療法を受療中で疲労のある患者が含まれ、疲労の原因も治療によるものとがんそのものによるものなど様々であった。

 8週時において、プラセボ、750mg/日群に比べ1000mg、1500mg/日群でより大きな疲労の減少が認められた。「中等度の改善」は1000mg群で25%、1500mg群では27%で報告されたが、750mg、プラセボ群ではともに10%であった。

 報告者の米Mayo Clinic(ミネソタ州)腫瘍学准教授のDebra Barton氏は「今回の試験結果は非常に有望なものであるが、決定的な臨床効果を証明するためのさらなる研究が必要。現時点では、がん患者の疲労低減に朝鮮ニンジンの常用は奨励できない。どのような患者に最も有用であるかを確認する必要がある」と指摘している。

アマニが前立腺がんの増殖を抑制

 オメガ-3脂肪酸を豊富に含む亜麻の種子であるアマニ(flaxssed)に前立腺腫瘍の増殖抑制作用のあることが、多施設での無作為化フェーズIII試験で明らかになった。アマニには、テストステロンやエストロゲンなどのホルモンに結合し、がん誘発阻止作用を持つリグナンも豊富に含まれている。実験室レベルでのリグナンの前立腺がんの増殖遅延作用や、アマニのマウス前立腺腫瘍のサイズ縮小効果が報告されているが、ヒト前立腺がんでの厳格な試験は今回が初めてのもの。

 試験は、前立腺がんと診断され、3週後に手術を受ける予定の男性161例を対象に行われた。被験者は、(1)通常食維持のコントロール群(2)アマニ30mg/日摂食群(3)日常食から脂肪を減少した(総カロリー20%減)低脂肪食群(4)アマニ30mg/日摂食+低脂肪食群──の4群に無作為に割り付けられた。アマニは粉末にして、食物と飲み物に混ぜて提供した。

 30日後(中央値)に患者は前立腺がん摘出術を受け、腫瘍組織の病理検査が行われた。第一次エンドポイント(評価項目)は前立腺がん細胞の増殖率(がん細胞の非分裂/分裂数比の評価)で、スコアはコントロール群では2.38、アマニ群では1.71、低脂肪食群2.93、ミックス群1.58であった。アマニ摂食群では、コントロール群、低脂肪食群に比較して有意に増殖を抑制することが明らかになった。

 報告者の米Duke大学メディカルセンター(ノースカロライナ州)外科教授のWendy Demark-Wahnefried氏は「多くの患者がいくつものサプリメントを摂取しているが、今回の研究結果は、アマニが前立腺がんの増殖を十分に抑制する作用を持っていることを示したものだ。ただし初期の研究結果であり、奨励するにあたっては、再現性による確認が必要」としている。

 今後、待機管理(watchful waiting)患者や術後再発のリスクのある患者を対象に、アマニの摂取量および長期間の効果を検討する試験が予定されている。

サメ軟骨は非小細胞肺がん患者の生存率を改善せず

 標準化学療法、放射線療法を受けた進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、サメ軟骨抽出物の併用は生存率改善の面で効果のないことが、大規模多施設フェーズIII試験で明らかになった。

 サメ軟骨製品は、腫瘍組織に栄養を送る血管新生の阻害作用があるとされ、がんを治癒させる代替医療品として市場に広まっている。しかし。過去において数多くの形体のサメ軟骨製品の試験が行われたが、生存率を改善したものはない。

 試験は、サメ軟骨抽出物AE-941の評価を目的としてもので、米国立がん研究所(NCI)が資金提供し、米国、カナダの43施設で、患者384例を対象に実施された。患者は、標準療法+サメ軟骨抽出物投与群と、標準療法+プラセボ投与群に無作為に割り付けられた。抽出物は液体の形で提供され、1日2回投与された。追跡期間3.7年(中央値)において、生存率はサメ軟骨抽出物投与群14.4カ月、プラセボ投与群15.6カ月と、2群間での有意差は認められなかった。

 報告者の米Texas大学M. D. Anderson Cancer Cente(r ヒューストン)准教授のChales Lu氏は「本サメ軟骨抽出物は化学放射線療法との併用において、肺がんに対し効果が認められなかった。結果は残念であるが、代替治療に用いられているこのような抗がん作用を有するといわれる製品に対し、科学的かつ厳格な検討を加えることのベネフィットを示したものといえる」としている。

 試験結果を受けて、AE-941製造会社のAeterna Zentaris社(カナダ)は同製品の開発を中止した。

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