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[リポート]ASCO 2007 [07 Summer]
ベバシズマブ、Sorafenibにより生存期間が延長
腎細胞がん

2007/07/18
日経メディカルCancer Review

仏Institut Gustave Roussy教授のBernard Escudier氏

 今回のASCOで最も注目されたがん種の一つが腎細胞がんだった。抗血管新生阻害薬のベバシズマブ、経口マルチキナーゼ阻害剤のSorafenibがいずれも転移腎細胞がんの全生存期間(OS)を延長させることに成功したためだ。

 腎細胞がんの治療は手術とともにインターフェロンα2a(IFNα2a)、インターロイキン2(IL2)などのサイトカイン投与が主流。IFNα2aは20年の実績があり、5%の患者で長期生存の成績が得られるが、奏効率は10%台と低く、満足した成績が得られていなかった。IL2には、ランダム化試験が行われていないなど、決して満足のいく水準の治療薬ではなかった。

 腎細胞がんの中の60~70%を占める淡明細胞がんでは、pVHL(von Hipper-Lindau)遺伝子の変異が高頻度で見られ、この結果血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)や血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、トランスフォーミング成長因子α受容体(EGFR)の遺伝子発現が亢進し、この結果、腫瘍血管の増殖や腫瘍細胞の増殖が起こっていると考えられている(J.Natl Cancer Inst:2006;95:326-334)。仏Institut Gustave Roussy教授のBernard Escudier氏らは、IFN-αaにベバシズマブを併用した多国籍フェーズIII試験(AVORENトライアル)よって、PFSが延長することを示した。Escudier氏らは、腎細胞がん患者649人を2群に分け、327人にIFN-α2a(9MIU sc 3times/weekmaximum of 52weeks)+ベバシズマブ(10mg/kgiv q2w until progression)を322人にはIFNα2a+プラセボを投与した(図5)。その結果、PFS中央値はIFNα2a群で5.4カ月だったが、ベバシズマブ併用群では、10.2カ月と2倍近く延長した。

Sunitinib+ベバシズマブの検討始まる

 転移腎細胞がんの欧米の第1 選択薬はSorafenib、Sunitinib、ベバシズマブなどの分子標的治療薬で、インターフェロンは過去の薬と見られてきた。しかし、AVORENトライアルは過去の薬をいま一度よみがえらせる結果をもたらした。しかしEscudier氏は、「AVORENトライアルの教訓はインターフェロンの復活にとどまらない」と指摘する。

 「今後の腎細胞がんの治療は、分子標的同士の組み合わせ、あるいは分子標的治療薬とサイトカインの最適な組み合わせを探すことになるだろう」との見解を示す。現在、Escudier氏はSunitinibとベバシズマブとを併用した臨床試験を開始しているという。組み合わせは、奏効率を上げるかもしれないが、同時に有害事象の頻度も上げることになり、慎重な評価が必要だと同氏は指摘した。

SorafenibがOS改善を確認

 もう一つ注目された腎細胞がんにおける成果がSorafenibとプラセボを比較した多国籍フェーズIII試験(TARGET:Treatment Approachies in Renal Cancer Global Evaluation Trial)の結果だ。昨年のASCOで、PFSの改善をEscudier氏が報告されている(N Engl J Med 2007;356:125-134)が、OSの結果が注目されていた。

 米Cleaveland Clinic Taussig Cancer CenterのR.M.Bukowski氏の報告によると、Sorafenib投与群(n=451)のOSは17.3カ月、プラセボ投与群(n=452)では14.3カ月(HR=0.78、CI:0.62-0.97,P=0.0287)と、39%の改善を示した。

 SorafenibもSunitinibも腎細胞がんに化学療法という新しい治療手段をもたらした画期的な新薬だ。一方で、無効化したとたんに、病勢が急激に進展する“リバウンド現象”の存在を懸念する専門医の声も少なくない。

 そこで、無効化した後にどのような手だてを講じるべきかが、生存期間を延長させるためには重要になるとBukowski氏は語り、その一案として異なる分子標的治療薬を連続して使用するsequentialな使用法の開発が重要であると述べた。

 前出のEscudier氏はSorafenibとSunitinibを連続して使用する臨床試験にフランス国内4カ所の医療機関を得て着手している。90人という限られた被験者数だが、同氏が発表したところでは、Sorafenibの後にSunitinibを使った場合、PFS(中央値)は、51週間。逆にSunitinibの後にSorafenibを使った場合は39週間で違いが見られたという。

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