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[ルポ・がん医療の現場] [07 Summer]
8拠点病院の連携を実現した「富山型がん診療体制」徹底解剖
富山県

2007/07/11
日経メディカルCancer Review

モチベーションの高揚と予算の獲得が大きな狙い

 富山型がん診療体制で特筆すべきは、砺波、高岡、富山、新川の4つの2次医療圏のうち、高岡、富山、新川医療圏にそれぞれ、地域がん診療連携拠点病院が2施設づつある点だ(図3)。

写真4 健康課主幹の加納紅代氏

 これまでも医療圏ごとに病院2施設程度が連携し、それぞれの機能を相互補完する形で、がん医療を行ってきた歴史が富山県にはある。こうした歴史的な背景と限られた医療資源を勘案し、独自のがん診療体制をつくった。

 また、健康課主幹の加納紅代氏は、「本県の拠点病院はすべて公的病院。これは本県の医療を公的病院が主導してきたため。拠点病院間の連携は比較的スムーズに運んだ。医療圏内に区割りがなかったことも追い風になった」という。

 富山型がん診療体制で目を引く点がもう一つある。それは、地域がん診療連携拠点病院7施設それぞれに、治療するがん種などを振り分けたことだ。

 砺波総合病院は肝がん、厚生連高岡病院は化学療法、高岡市民病院は女性のがんと放射線治療、富山市民病院は胃と大腸がん、富山大学付属病院は高度先進医療と治験、黒部市民病院は血液がん、富山労災病院は悪性中皮腫を受け持っている。

写真5 県がん診療連携拠点病院である富山県立病院長の飯田博行氏

写真6 副院長の能登啓文氏

 県立中央病院副院長の能登啓文氏は、「富山型がん診療体制は県内がん医療の均てん化が最大の目標。これを達成するには地域がん診療連携拠点病院のモチベーションを高める必要があった。このため各種がん医療を分担し受け持たせることで、責任の所在を明確化した」と語る。

 ただ選択と集中という理想は常に現実と相容れるわけではなく、一部の地域がん診療連携拠点病院を除き、割り振られたがん医療に対して、高い治療成績を残してきたわけではない。

 このため割り振りに当たっては、医師からの反発など難航する場面もあったが、県の健康課が調整役となり、“乗り切った”という。

 もともと富山県にはがんの専門病院がなく、がん診療連携拠点病院は第一線の総合病院であるという性格上、割り振られたがん医療だけを治療することは現実としてできない。

 「例えば新川医療圏にいる患者さんが肝がんで砺波医療圏の砺波総合病院に通院することは困難。基本的には、どのようながんでも患者さんは最寄りの拠点病院を受診することが可能」と、県立中央病院院長の飯田博行氏は強調する。

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