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[ルポ・がん医療の現場] [07 Summer]
8拠点病院の連携を実現した「富山型がん診療体制」徹底解剖
富山県

2007/07/11
日経メディカルCancer Review

写真1 雨晴海岸から望む立山連峰

 2次医療圏に複数の地域がん診療連携拠点病院を持つ富山県。全国でも例のない8拠点病院の連携を実現した「富山型がん診療体制」とは何か。そのスキームからクリアすべき課題、将来像までを徹底解剖する。

全県と2次医療圏レベルの複数病院をネットワーク化

 本州の中央北部に位置し、三方を北アルプス立山連峰など急峻な山々に囲まれた富山県。深い湾を抱くように広がる平野部を中心に111万人が暮らす。県庁所在地の富山市を中心に半径50kmというまとまりの良い地形も特徴的だ。

 変化に富んだ自然と豊かな水に恵まれた富山県だが、「全がん死亡率は全国平均を上回る右肩上がりで推移しています」と、富山県厚生部健康課課長の河村幹冶氏は説明する(図1)。

 こうした状況を改善するため、県と県内のがん医療専門医、県医師会、富山大学、医療関係団体が協議を重ね、独自方式の「富山型がん診療体制」を構築した(図2)。

写真3 富山県厚生部健康課課長の河村幹冶

 この診療体制の目指すところは、
(1)全県レベルの機能と、2次医療医圏レベルの機能を持った複数の病院を、がん診療連携拠点病院としてネットワーク化し、がん医療の均てん化を図る
(2)がん診療連携拠点病院は、がん医療情報の全面公開や緩和ケア外来などの設置を行う
(3)同院は、県と市町村、県内企業が協力し2007年度中に開設する共同利用型PETセンターを積極的に活用し、がんの診断・治療機能を強化する
(4)同院は、県内普及率100%のケーブルテレビなど情報インフラを用い、県民にがん医療情報を提供する
の4つ。

写真2 県がん診療連携拠点病院の富山県立中央病院

 「県がん診療連携拠点病院の富山県立中央病院と特定機能病院の富山大学付属病院が、2次医療圏の地域がん診療連携拠点病院と連携し、難治がんや小児がんなど特殊ながん治療を中心に行う」(河村氏)。

 また、県立中央病院はがん治療を担う医師を研修し、富山大学附属病院は腫瘍センターを中心に医師の養成や地域がん診療拠点病院に医師を派遣する。さらに北陸アスベスト疾患センターの富山労災病院は、アスベストによる悪性中皮腫などの診療を担当する。

 2次医療圏レベルの機能としては、「地域がん診療連携拠点病院が、他医療圏の地域拠点病院と協働し、肺、胃、肝、大腸、乳がんなど発症率の高いがん治療を行う」(同)。

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