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トピックス5 [07 Summer]
秋田大学、術後神経障害からの回復法を考案
動物試験の成績を報告

2007/07/09
日経メディカルCancer Review

 高齢男性の前立腺がんを切除できた──。ほっとしていた執刀医に後日、患者が漏らした言葉が「生きがいをなくした」だった。前立腺全摘手術の後遺症である勃起不全に対する対策はないか。患者の一言に衝撃を受けた秋田大学医学部泌尿器科教授の羽渕友則氏らは、前立腺全摘手術において問題となる陰茎海綿体神経の損傷を、生体吸収素材を貼るだけで修復する技術を開発した。動物実験の結果を4月17日から神戸で開かれた日本泌尿器科学会総会で報告した。自家神経移植などに比べて、容易に神経を再生し、勃起機能を回復することができるという。

 羽渕氏らが開発した方法は、神経障害部位をアルギン酸ゲル・シートで被覆するように貼り付けるというもの。雄Wistarラットの両側陰茎海綿体神経を周辺の細かい神経とともに2mm切除。アルギン酸ゲル・シートを貼り付けた群と切除したままの群に、発情した雌個体との交尾行動を観察した。すると、切除したままの個体では交尾行動は観察されなかったが、アルギン酸ゲル・シートで被覆した個体群では、徐々に交尾する個体が増え始め、術後12週目で7割のラットで勃起機能の回復を確認したという。

 陰茎海綿体神経の再生方法としては自家神経移植があるが、神経採取部位の障害や吻合技術が煩雑で普及していない。これに比べるとアルギン酸シートを貼るだけで済むこの方法は非常に簡便である点が大きな魅力といえるだろう。

 アルギン酸ゲル・シートは共同研究者である北野病院形成外科の鈴木義久氏が開発したもので、アルギン酸共有結合架橋ゲル・スポンジをシート状に加工し、凍結乾燥したもの。細胞毒性がなく、神経再生に好適な素材だという。今回の発表した実験のアルギン酸ゲル・シートはクラレメディカルが作製し、提供しているが、現在では同社と共同研究は行っていないという。

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