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トピックス4 [07 Summer]
三重大学、ヘリコバクター除菌の成否を患者と菌の遺伝子から予測

2007/07/06
日経メディカルCancer Review

 胃がんのリスク因子であることがはっきりしてきたヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)では、抗菌剤や制酸剤による除菌が普及している。しかし、この除菌に失敗するケースも珍しくない。除菌の成否を事前に予測できれば対策が打てるはずだ。三重大学医学部附属病院オーダーメイド医療部講師の中谷中氏らが、除菌の成否を決定する遺伝子検査を日常診療に導入した。除菌失敗の原因は、患者の薬物代謝遺伝子と菌自体の遺伝子とにあるが、三重大学は両方の遺伝子を検査している。

 除菌方法は、米国で提唱されたプロトンポンプ阻害剤(PPI)、抗菌薬のアモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤併用療法が一般的だが、中谷氏は「除菌失敗には、患者のPPIを分解する薬剤代謝酵素CYP2C19の活性が強いタイプを持っていること、加えて菌自体が持つクラリスロマイシン耐性が関与している」と説明する。クラリスロマイシン耐性は菌が持つ23SリボソームRNAの遺伝子多型の有無が関係するが、この多型の影響は大きく、除菌の成否をほぼ決定するという。

 中谷氏らオーダーメイド医療部は、CYP2C19と23SリボソームRNAの遺伝子多型をアプライド・バイオシステムズ(ABI)のDNAシーケンサーを利用した「SNAPショット」で同定するシステムを構築している。

 実際の診療では、CYP2C19の遺伝子多型を基に処方するPPIの用量を決定し、強力に代謝されPPIの血中濃度の上昇が期待できないと判断された場合はPPIの増量(通常の60mgから120mgへ)を指示する。一方、23SリボソームRNAの遺伝子多型を分析し、クラリスロマイシン抵抗性であることが予想された場合は、駆虫剤のメトロニダゾールで代替するという。検査は三重大学病院の受診者に限定せず、周辺の病院からの依頼も受け付ける予定だ。中谷氏は「すべての医療機関で遺伝子検査ができる体制を取る必要はないと思う。がん診療連携拠点病院など地域の中核病院で集中的に検査できる体制をつくるほうが普及には現実的であると思う」と語っている。

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