中外製薬は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんを適応として製造販売承認を取得した抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組み換え-販売名:アバスチン)を6月11日に発売した。薬価は、点滴静注用100mg/4mL1バイアル5万291円、同400mg/16mL1バイアル19万1299円。成人には、ベバシズマブとして1回5mg/kg(体重)または、10mg/kg(体重)を点滴静脈内投与する。

「アバスチン」のパッケージ。点滴静注用100mg/4mL1バイアル5万291円、同400mg/16mL1バイアル19万1299円。成人には、ベバシズマブとして1回5mg/kg(体重)または、10mg/kg(体重)を点滴静脈内投与する。
また、発売後は全例調査が義務付けられ、18カ月を調査期間として、2500例の集積を目標としている。中外製薬では、「2500例が得られた段階で、結果を評価し、全例調査の継続や実施方法・内容の変更の必要性を検討した上で終了について慎重に判断する予定」と話している。また、解析結果は、規制当局のみならず学会などで積極的に公表するとしている。
消化管穿孔や腫瘍部位からの出血という重篤な副作用が海外の使用例からも予想されるために、まず「化学療法に精通し、副作用への緊急対応が可能であり、全例調査に協力可能な医療機関」であることを同社の担当者が確認した上で、納入する。
同社の予想では、こうした医療機関は全国に900施設程度になるという。アバスチンは、米Genentech社(カリフォルニア州)によって創製された。2007年6月現在、米国および欧州88カ国で発売されている。アバスチンは欧米では、高額な経費がしばしば話題になっていたが、日本の薬価は米国より約40%低く設定され、「世界一安い薬価ではないか」(消化器内科医師)という声も聞かれた。