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トピックス1 [07 Spring]
がん性悪臭に対する院内製剤の状況
聖路加チームが実態調査

2007/04/03
日経メディカルCancer Review

 進行性乳がんなどによる腫瘍潰瘍部からの悪臭(がん性悪臭)に対して、外用薬の院内製剤を行っているかどうか、聖路加国際病院(東京)薬剤部の渡部一宏氏、信濃裕美氏らが国内432施設に対してアンケート調査を実施し、その結果を2月に東京で開かれた第21回日本がん看護学会学術集会で報告した。がん性悪臭に対して独自に院内外用製剤を調整している施設が30%と少なく、また調整していても、その内容に施設間でばらつきがある実態も明らかになった。渡部氏は「がん性悪臭に対して、有用な方法があることを知ってもらいたい」と話している。

 がん性悪臭の原因は、潰瘍部に発生したトリコモナスや黄色ブドウ球菌などの感染である場合が老い。そこで、抗寄生虫薬や抗菌剤を軟膏にして外用することが、国際的に推奨されている。調査は、平成16年度日本乳癌学会認定施設病院432施設を対象に行われた。回答は313施設で、回答率は72.5%だった。がん性悪臭に対して院内外用製剤を調整している病院は432施設中95施設(30%)でその製剤の種類は、有用との報告が多い抗寄生虫薬のメトロニダゾール(MTZ)軟膏を調整している病院は77施設、クリンダマイシン軟膏が8施設、の順に多かった。MTZを主成分としたものは99処方中88処方あった。

 同病院のブレストセンター長・乳腺外科部長の中村清吾氏は、「進行すると乳がんでは皮膚潰瘍が多くなるが、適切な処置がとられていないケースがある。全身の感染に発展することもあり、管理が必要になる」と語る。化学療法は血管新生を抑制し、こうした潰瘍を進行しやすくする側面もあるという。皮膚科の積極的な関与が期待されるが、外科と皮膚科の連携が十分でない例もあると中村氏は指摘する。

 院内製剤を調整している施設が30%と少ないことは「大いに問題」と渡部氏は語る。その大きな原因の一つが、費用が担保されないことだと同氏は見ている。聖路加国際病院では、毎月6~7人の患者を対象に、MTZ軟膏を15~16kg調整するが、そこで発生する費用の約15万円は同病院の負担となっている。独自に院内製剤を行っている病院のいずれも状況は同じと見られ、こうした施設への経済負担が普及の障害になっている。とりわけ、「国公立の施設では、年間薬剤費が厳密に決められている例が多く、院内製剤の実践をより困難なものにしている可能性がある」(渡部氏)という。

 この費用については、各施設の診療材料費から捻出している施設、患者から自費診療として請求している施設、保険収載原料のみを請求している施設がそれぞれ約30%あることも今回の調査で明らかになった。渡部氏と信濃氏らは、今後より効果的で安価なMTZ軟膏を調整するために、軟膏そのものの基礎データ、臨床データを蓄積していくことにしている。

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