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リポート2 がん相談支援情報センター [07 Spring]
がん診療連携拠点病院に求められる
相談支援センターの役割とは?

2007/04/05
日経メディカルCancer Review

四国がんセンターのがん相談支援・情報センターの相談風景

 がん診療連携拠点病院の認定要件として、患者の相談窓口となる「相談支援センター」の設置が義務付けられた。しかし、拠点病院の多くは、どのような組織づくりを行えばいいのか、戸惑いをみせている。そこで、いち早く同センターを立ち上げた国立病院機構四国がんセンターの取組みを紹介する。

各種相談窓口を集約
人材確保に苦労多く

新築移転前は11の窓口に分かれていたが、移転後は一本化している

 国立病院機構四国がんセンターは2006年4月の新築移転を機に、それまであったさまざまな患者相談窓口を、新たに設けた「がん相談支援・情報センター」に集約した。

 その理由を「各窓口間の連携がなく、問題が生じていたからです」と、同センターの設置に中心的な役割を果たした外科部長の谷水正人氏は話す。

 移転前は苦情相談に対応する医事課窓口や診療所からのFAX紹介を受け付ける医療連携室、福祉・介護など医療以外の相談に応じる「よろず相談」など、全部で11の相談窓口があった。

 だが、例えば終末期の患者の退院支援を行う緩和ケア外来と、入院をサポートする医療連携室との間に連携がなかったため、「患者さんが再入院するときに、この2つの窓口の間に行き違いが起こり、適切に対応できないことがあった」(谷水氏)と説明する。

 同センターはがん看護専門看護師1人、看護師2人、事務員2人、メディカルソーシャルワーカー(MSW)1人、臨床心理士1人(週2回勤務)の合計7人で構成。「各部署から優秀な人材を集めました。メンバーは医師への対応ができるコーディネート力のある方々です」。

 しかし、同センターの立ち上げで、最も苦労した点は、優秀な人材の確保。「たたでさえ、各現場は人手が足りず、業務負担が大きいのに、これだけの人材を引き抜くのは本当に大変でした」。

四国がんセンターの全景。2006年4月に新築移転した

 そもそも谷水氏は、新築移転前から医療の質を高めるには、患者相談窓口の一本化が必要であることを、事あるごとに提言してきた。それが、院長をはじめ幹部の目にとまり、同センターの発足につながった。また、医療制度改革のなかで、がん診療連携拠点病院の要件に、相談支援機能を有する部門の設置が明記されたことも追い風となった。

 だが、同センターに人材を送り込むことに各部署は当初、難色を示していた。これに対し、谷水氏は、窓口一本化のメリットを説くと同時に、院長をはじめ幹部の協力を得て、同センターのメンバーを確保することに成功した。「特に大変だったのは、看護師の獲得。診療情報の管理を行っていた看護師をスカウトするのは本当に骨が折れた」。

相談件数は一月1600件
院内外の連携が円滑に

単なる相談窓口ではなく、地域医療と中核医療機関との情報の流通を促すポータルとして構想されている

 同センターの業務は、(1)医療相談・よろず相談(対面相談および電話相談)、(2)退院調整(病棟看護師と共同し、入院早期より介入)、(3)在宅療養支援(外来通院中の患者に対する支援)、(4)医療連携(セカンドオピニオン、FAX紹介相談・対応業務。また地域の医療機関や訪問看護ステーションとの勉強会など相互交流の推進)、(5)情報発信・情報提供(がん患者数、治療症例数の公開。またパンフレットやクリニカルパスを用いたがん治療に関する情報提供)(図2)。

 同センターに寄せられる相談件数は毎月1300~1600件程度(図3)。特に多いのが医療相談と医療連携だ。同センターの設置に関して、「患者さんからは感謝の声や投書があります。また、出入りの業者からも好評です」という。

 特に在宅酸素や中心静脈栄養など在宅療養支援を行っている業者は、スムーズに業務が行えるようになった。同センターが発足する前は、患者や看護師に機器の説明や訓練などを行うため、業者自らがそれぞれに面会の手続きをしなければならなかったが、同センターがこうした手配を一括して手がけるようになったことで、面倒な手続きが解消された。

 また、外部の医療機関も、これまで四国がんセンターの医師がどのような診療を行っているか、わからなかったが、相談支援センターに問い合わせることで、連携がしやすくなった。

 さらに同センターは外来の負担軽減にも貢献している。四国がんセンターの外来には、1カ月間に4000件の相談が寄せられていたが、適切な対応がとれていなかった。これは「看護配置基準が病棟だけに適応されるため、外来にはパートの看護師しか配置していないことが原因だった」。

 そこで谷水氏は、外来に寄せられる相談内容を検討し、まず、受診の説明や予約を行う「予約コーナー」を移転前に設置した。移転後は、予約コーナーの担当以外の相談は、相談支援センターが対応することになり、外来の負担が一層軽減された。「今では電話交換手が患者さんの話を聞き、相談支援センターか予約コーナーに電話を振り分けるようになった」。

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