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リポート 第65回日本癌学会学術総会より [06 Winter]
奏効率向上の切り札か
“科学的患者選別時代”の幕開け

2007/02/07
日経メディカルCancer Review

■コラム
腎細胞がんにも分子標的治療薬が登場へ
サイトカイン療法との併用も課題

The Royal Marsden Hospital in London教授の1Martin Gore氏

 日本癌学会総会、さらに日本癌治療学会学術集会では、腎細胞がんの治療薬として来年にも登場する分子標的治療薬が関心を集めた。

 米国ではsorafenib、suntinib(SU11248)が承認され、日本国内で普及しているインターフェロンαやインターロイキン2よりも推奨される治療法となっている。

 日本癌学会総会で講演した英The Royal Marsden Hospital 教授のMartin Gore氏は、チロシンキナーゼ阻害薬のこれら2剤に加え、同じく分子標的治療薬でmTOR(target of rapamaycin)阻害薬のtemsirolimus、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を中和する抗体医薬bevacizumabが有力な4剤という考えを示すとともに、腫瘍壊死因子(TNF)に対する抗体医薬infliximabにも期待できると語った。

 日本国内で製造販売承認申請中のsorafenibは、「2つの2nd lineのフェーズIII臨床試験で無増悪生存期間(PFS)をプラセボに対して2倍延長するとういう優れた結果を示した」(Gore氏、TARGETs試験のPFS中央値は、プラセボ群が2.8カ月に対して、sorafenib群が5.5カ月となった)(図4)。

「長期的な使用の結果を
見極める必要」


 国内47カ所で治験が行われたsorafenibは来年にも承認される可能性がある。米国でsorafenibと並んで標準治療薬となっているsuntinibも国内で治験が進めれらており、近い将来に2種類の分子標的薬が登場する可能性が高い。

 筑波大学大学院助教授の島居徹氏(臨床医学系泌尿器科)は、「腎細胞がんは抗がん剤に対する感受性が低いがんであり、外科的切除以外の確実な治療法はなかった。インターフェロンαなども奏効率は10%程度。分子標的治療薬では奏効率は20~30%台であり、期待できる。一方で理想の投与時期や期間、長期的に使用して全生存期間を延長するかどうかは、まだ確定しておらず、使用する場合も慎重に行っていく必要がある」と語る。

岩手医科大学泌尿器科教授の藤岡知昭氏

 岩手医科大学泌尿器科教授の藤岡知昭氏は「腎細胞がんの専門家にとっては待ちに待った薬ではあるが、課題も多い。用量設定は日米同じで申請されているが、それでいいのどうか、日本人特有の有害事象が現れないかどうか、見極める必要がある。承認されれば、まずは臨床家が使えるようになる。実はそこがスタートで、分子標的薬の潜在的な力を引き出すようにうまく使って育てていくのは臨床家の役割だと思う」。藤岡氏は課題の1つとして「インターフェロンなどとの併用を検討していく必要がある」と語っている。

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