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リポート 第65回日本癌学会学術総会より [06 Winter]
奏効率向上の切り札か
“科学的患者選別時代”の幕開け

2007/02/07
日経メディカルCancer Review

東京医歯大と癌研が骨髄抑制の
SNP検索を開始する

 遺伝子マーカーの重要性ははっきりしているが、実際に処方に利用できる信頼性のあるマーカーを探り当てることは容易ではない。東京医科歯科大学難治疾患研究所教授の三木義男氏は、乳がん患者を対象にパクリタキセルの応答性を予測する遺伝子発現パターンを探索している。既に候補遺伝子を見出しているが、被験者とは異なった別の患者集団でもこれらの遺伝子をマーカーとした場合に、再現性が確保されるかどうかを調べるバリデーションテストを進めている。

 三木氏は、「こうした遺伝子マーカーを得ようとする場合に、被験者とした患者集団の偏りが結果の信頼性を大きく損なうことがあるので、バリデーションが非常に大事だ」と語った(図3)。

東京医科歯科大学難治疾患研究所教授の三木義男氏

東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔氏

 現在、三木氏のほかに2~3の研究グループが乳がんのパクリタキセルの治療効果を予測するマーカーを報告しているが、いずれも異なった遺伝子群を報告している状況だという。

 三木氏は遺伝子の1塩基置換多型(SNP)を計測して、ドセタキセルが持つ骨髄抑制を予測する研究も進めている。遺伝子の発現の強弱を見極める方法に比べ、SNPには患者集団のバイアスが入り難いとして、臨床現場ではこのSNP検査が先行すると予想している。年内に癌研有明病院と共同で、SNP検査の臨床試験を開始するという。

 抗がん剤の処方に全身状態や治療歴を考慮することは当然。でもそれらばかりではなく、今後は遺伝子を解析して、薬剤応答が期待される患者を選別して、薬剤を投与する治療スタイルが、がん医療の現場に浸透することになりそうだ。

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