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化学療法アップデート [06 Autumn]
乳がんの最近の治療方針
高嶋班研究、St.Gallenの成果を踏まえて

2007/02/07
日経メディカル Cancer Review

術後補助内分泌療法の種類と適応

 抗エストロゲン薬のタモキシフェン(tamoxifen、TAM)による補助内分泌療法の有用性は、EBCTCGのメタアナリシスでリンパ節転移の有無にかかわらず、健存率、生存率ともに有用性が示されている。ER陽性症例が閉経の有無にかかわらず明らかに有利であり、ER陰性症例では有意差はあるものの陽性例に比べその有用性は劣る。

 TAMの効果は転移性乳がんでの奏効率を参考にするとER/PgR陽性群が50~75%、ER陽性/PgR陰性群20~30%、ER陰性/PgR陽性群30~50%、ER/PgR陰性群10%以下の報告がある7)。ER陰性例のTAM感受性は測定法などのバイアスが存在し、従来から論議されていたが補助療法では偽陽性を減ずるためにTAMの慎重な適応が重要である。

 最近のNSABP B-23試験の報告ではER陰性群に対するTAMの投与で健存率がTAM非投与(Placebo)群より悪い傾向にあり、ER陰性症例に対するTAMの投与は慎重に行うべきと警告している。PgRについては、陽性群ではER陽性よりはやや劣るものの、内分泌療法に対する感受性は高く、St.GallenのコンセンサスではER陰性でもPgR陽性症例は内分泌療法の適応としている9)

アロマターゼ阻害剤

 閉経後乳がんの治療薬として、最近重要性を増している薬剤にアロマターゼ阻害剤がある。閉経後の患者は、アンドロゲンをアロマターゼの働きにより、エストロゲンに変換しているが、アロマターゼ阻害剤はこの過程を止めることによって、腫瘍へのエストロゲンの供給を遮断する。日本国内では、アナストロゾール(anastrozole)、エキセメスタン(exemestane)、レトロゾール(letrozole)などがある。 閉経後乳がん補助療法におけるアロマターゼ阻害剤の有用性は現在も進行中の臨床試験の結果を待つべきであるが、ATAC試験では、閉経後・内分泌感受性症例に対し、TAMvs TAM + アナストロゾール vsアナストロゾール単独の3群比較を行い、無再発生存期間(RFS)でアナストロゾール単独群が最も有効という成績が出ている。長期の有害事象は不明であるため、TAMに一気に取って代わるものではないと考えられる。現在のところは、タモキシフェンとアナストロゾールとは閉経後ホルモン感受性のある乳がんの標準薬としては同じレベルにあるというべきである。

 しかし、TAMによる有害事象によりTAMを早期に中止するような症例にはアナストロゾールを使用することは問題ないと考える。勿論、TAM + アナストロゾールは行うべきでない。転移性乳がんのホルモン療法については図6のような使用順位が考えられる。

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