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化学療法アップデート
腎細胞癌の分子標的治療
ソラフェニブ、スニチニブの市販後調査を中心に

2009/12/11

◆皮膚および皮下組織障害

 最も多く報告された有害事象が、皮膚および皮下組織障害である。1199件(820例)が報告され、重篤なものは157件(134例)であった。主な事象はHFSで644件(578例)の報告があり、そのうち86件(86例)が重篤であった。HFSは足底に生じると疼痛のため歩行困難となる。手足症候群のグレード分類では日常生活に支障をきたすと、grade3となり、軽快するまで休薬し、再開する場合は400㎎を1日1回の投与とする。

 予防として保湿のためのローションやクリームの塗布が推奨される。発疹の出現も報告されているが、注意しなければならないのは頻度こそ低いが重篤な転帰が懸念される多型紅班とスティーブンス・ジョンソン症候群である。こうした症状が出現した場合には、速やかに休薬しステロイドの投与を行う必要がある。同時に皮膚科の専門医に相談する必要がある。

◆高血圧

 高血圧は「血管障害」の94%を占め、357件の報告があった。アンギオテンシン受容体阻害薬、カルシウムチャネル拮抗薬、及びその組み合わせで殆どがコントロール可能である。

◆胃腸障害

 最も頻繁な胃腸障害は下痢である。下痢は腸管機能抑制作用があるロペラミドなどの止痢剤で対応する。重篤な障害は消化管穿孔と消化管出血があげられる。外科的処置が必要となる。

スニチニブの効果と副作用

 スニチニブの第3相試験は無治療の転移性腎癌(淡明型細胞癌)750例の無作為比較対象試験であり、スニチニブ (50㎎/day;4週投与、2週休薬)あるいはIFN-α (900万単位;週3回)の投与を行った。1st lineとしての臨床試験である。PFS はそれぞれ11カ月と 5カ月であり、有意にスニチニブ群が延長した。腫瘍縮小効果はそれぞれ31%と6%であった4)

 スニチニブの主要な副作用としてはソラフェニブと同様にHFS、高血圧、下痢があげられるが、血小板・白血球減少、甲状腺機能低下症5)、心機能低下6)にも注意する必要がある。2008年7月に承認されたが、多彩な有害事象が観察されるため、市販後調査が義務づけられた。様々な副作用に対応する必要があるが、スーテントは腫瘍縮小効果に優れる。自験例で肺および胸膜転移巣の縮小が顕著であった例を示す(図3)。胸水が消失したため患者の呼吸苦の症状が著しく改善した。

スニチニブの市販後調査7)

 1カプセル12.5㎎を朝1回、4カプセル内服する。4週間内服し、2週間休薬するため6週を1クールと規定する。2008年6月13日から2008年12月12日の期間で腎細胞癌患者449例が登録され、222例において合計1056件の有害事象が報告された。重篤な副作用については88例187件が報告されている。性別、年齢、全身状態(PS)および体表面積について重篤な副作用との関連を検索したところ、年齢が高くなるほど副作用の発現割合が高くなることが判明した。

 報告された有害事象を器官別大分類でみると「臨床検査」が最も多く、次に、「胃腸障害」、「皮膚および皮下組織障害」、「全身障害」、「血管障害」、「内分泌障害」の順であった。「皮膚および皮下組織障害」には手足症候群、発疹、皮膚変色の順に報告が多かった。「血管障害」は高血圧、「胃腸障害」は口内炎と下痢であった。「内分泌障害」は甲状腺機能低下症であった。

◆血小板減少

 最も高い頻度で発現する副作用であり、消化管間質腫瘍(GIST)に対して使用された件数とあわせて解析した結果では91.4%に発現した。重篤な血小板減少は概ね投与開始から3週間以内に発現しており、約8割の症例で軽快もしくは回復していた。血小板減少が25.000/mm2未満まで低下した腎細胞癌患者が19例認められた。

 11例において血小板輸血が行われている。概ね3週以内に軽快もしくは回復していたが、1例において13.000/mm2まで低下し、原疾患の増悪に伴い播種性血管内凝固(DIC)による死亡例が報告されている。

 自験例における血小板減少の推移を例として示す。休薬基準である50.000/mm2未満で休薬しているが、2週間の休薬期間で回復し、次のクールでは予定どおり再投与が可能である。減量せずに投与を継続している(図4)。

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