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化学療法アップデート
薬剤性皮膚障害への対策
新規分子標的治療薬の副作用を中心に

2009/04/30

 治療方法のポイントを以下に記載する。

① ステロイドとミノサイクリンの併用
 通常のざ瘡や爪囲炎は細菌感染を伴っていることが多いが、EGFR 系阻害剤による皮疹においては、膿疱を伴ったざ瘡様皮膚炎(写真1)であっても、ひょう疸様の爪囲炎(写真2)であっても、ほとんどが無菌性のものであり、ステロイド外用剤の投与が可能である。また併用薬剤はテトラサイクリン系抗菌薬のミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)が第一選択と考えられるが、これは、無菌性のざ瘡様皮膚炎や爪囲炎のいずれにおいても細菌の2次感染生じている場合に有効であるのはもちろん、細菌感染のない場合であってもミノサイクリンの持つ抗炎症作用が効果的であるからである。

② 爪囲炎にはクライオサージェリー

 一般皮膚疾患としての爪囲炎の治療法として現在は姑息的な外科療法は推奨されていない。ステロイド外用の効果が不十分である場合、局所治療として爪から肉芽への加圧を保存的に除去する方法がいくつか考えられる。最も簡便なものは綿球法によるクライオサージェリー(凍結療法)である。また、つけ爪もその1 つである。

 ただし、EGFR 系阻害剤のような分子標的治療薬によって起こる爪囲炎は、common skindisease として典型的な、母指や母趾に単発で起こるものとは異なり同時に多発するため、日常生活を送る上でQOL を下げることから、一時的であっても劇的に症状が改善し、無症状で生活を送ることができる方法としてあえて爪の部分切除などを選択する場合がある。

③ 皮膚乾燥には保湿剤

 皮膚乾燥(乾皮症、写真3)に対する外用療法の第一選択は保湿剤である。炎症を起こしていない部位には尿素軟膏、ヘパリン類似物質をはじめ、白色ワセリンそのものも、外用に適している。乾燥に加えそう痒など炎症症状が見られるときにはstrongクラス以上のステロイドも同時に塗布する。

④ 改善しないときは全身療法

 局所治療のみでは改善しない症状や、特にそう痒感が強く、掻破によって2次的な皮膚疾患が出現する危険があると考えられる場合、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬の内服といった全身療法が必要となることがある。

ソラフェニブと手足症候群

 ソラフェニブは泌尿器科領域における初めての分子標的治療薬であり、腎細胞癌に対して投与されるMAP キナーゼ・シグナル伝達経路の構成分子であるRAF キナーゼやVEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、PDGFR- β、KIT、FLT-3、RET などを対象としたマルチキナーゼ阻害剤である。この薬剤の国内第Ⅱ相臨床試験において手足症候群が過半数の症例に出現した。この中にはGrade 3症例が9.2%(12/131例)含まれているが、これはEGFR 系阻害剤におけるGrade 3 の皮膚症状出現率に比べて高率である。

 また従来から手足症候群は5-FU やカペシタビンなどフッ化ピリミジン系薬剤で起こる障害としてよく知られているが、ソラフェニブで起こる手足症候群(写真4)はそれとはやや臨床像が異なっており注意が必要である。キナーゼ阻害薬で起こるものは手掌、足底に限局性の斑状の発赤ではじまり、荷重部や外的な刺激を反復して受ける部位に非常に強い角化を起こすことを特徴とする。これは水疱の形成へと進展し、疼痛を伴うようになる。

 手足症候群に対する局所療法としては、まず保湿を目的とした尿素軟膏、ビタミンA 含有軟膏、白色ワセリン、ヘパリン類似物質などの外用剤の塗布を行うことであり、炎症所見が強い場合はstrongクラス以上のステロイド軟膏を外用する。ただし、それ以前に、荷重や機械的刺激をさけて手足を十分に保護すること、足の腫脹が高度であるときは下肢を挙上すること、熱感のあるときは、手足をよく冷却することなど、薬物治療以外にできるスキンケアも重要である。

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