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ルポ2 がん医療の現場
画期的新薬は専属チームで対応 情報共有、職責明確化、業務簡素化でやる気もアップ
癌研有明病院“チームアバスチン”

2009/01/20

治療体系の見直しが求められるような画期的な新薬が登場した場合、それを円滑に導入するにはどうしたらいいか。癌研有明病院(東京・江東区)では承認前から多職種で構成する専属チームを組織して、基礎的な情報の共有から突発イベントの対策までを議論し、院内マニュアルを作成している。大腸がんの治療薬ベバシズマブ(商品名:アバスチン)の“ チームアバスチン” の活動を取材した。




 癌研有明病院・化学療法科には、「画期的な新薬が発売されたら、日常の診療に日本で一番初めに使う」という不文律がある。治験で使用経験を得るというレベルではない。多くの患者を診る日常の臨床現場で使っていこうというスタンスだ。

 欧米で標準治療として使われている薬剤なのに、日本における製造販売承認が遅れてなかなか使えないドラッグラグ(drug lag)が、抗がん剤では特に問題となっている。発売と同時にいの一番で使うことは、このドラッグラグによってもたらされる患者の不利益を最小限に留める効果がある。しかし効能はそればかりではない。化学療法科消化器担当部長の水沼信之氏は、「薬剤を使う現場のモチベーションを高めるために最も単純で強力な目標だから」と説明する。日本で最初に使うということは、欧米における使用経験から逸脱した予想外の副作用のリスクも積極的に引き受けることをも意味する。当然、相応の準備と想定外のイベントにも対応できる強力な布陣が必要になる。日本屈指のがん専門病院というプライドが、それを実現させているわけだ。

化学療法科消化器担当部長の水沼信之氏

 そこで、同院が採用した方法が、新薬について徹底的に調べ上げて、使用に当たっても責任を負うタスクフォースを作るというものだった。2007年8月にベバシズマブ(商品名:アバスチン)が発売された際には“チームアバスチン”が、2008年9月にセツキシマブ(商品名:アービタックス)が発売された際には“チームアービタックス”が中心となって活動した(表1)。

 最近結成されたチームには、2005年のFOLFOX(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)や2006年ベルケイド(一般名:ボルテゾミブ)など7チームがあり、いずれも画期的な新薬であり、「登場以前の治療体系の見直しを迫るほどの重要な薬剤」(水沼氏)だ。


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