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インタビュー[08 Spring]
外来化学療法成功のポイントはチーム医療オーダーシステム
国立がんセンター中央病院・通院治療センター医長 田村研治氏

2008/03/28
日経メディカルCancer Review

―― 緩和医療では地域連携が奨められていますが、外来化学療法でも地域連携が必要になっているわけですね。


田村 今まで、国立がんセンターで地域連携というと最も重要視されていたことが緩和医療でした。もちろんこれは大切です。加えて、外来化学療法をしているときの細かな軽微な副作用への対策に地域連携は有効です。例えば、食事が取り難いけれども、それほど重篤ではないとか、あるいは下痢があったり、便秘があったり、軽症の皮疹が出たり。

これまではセルフケアで何とか対応しましょうとしていましたが、現在は近くの開業医や病院に紹介状を書いておくようにしています。「ちょっと食事が取り難いときは、この医療機関で点滴できますよ」という施設を確保しておくわけです。

 栄養点滴をするために、わざわざ国立がんセンターに来るのは患者さんにとって大きな負担ですが、地域連携でそうした不便は解消できます。

 がん診療連携拠点病院などの中核病院も、外来を中心とした抗悪性腫瘍薬治療をするわけですから、それをサポートするホームドクターは必要になってきます。ホームドクターの役割は、決して抗悪性腫瘍薬を投与することではなくて、抗悪性腫瘍薬に伴う周辺の症状を含めてケアすることが重要であり、安心感も得られます。


―― そうした紹介状はどこでも受け入れてくれるものですか。


田村 確かに、「うちは抗悪性腫瘍薬を使わないので」という理由で躊躇する医療機関もゼロではありません。しかし、抗悪性腫瘍薬治療中に併用してはいけない薬剤が非常に多いということはありません。がん化学療法について専門知識はなくても、十分対応していただけるということを説明しています。

国立がんセンターは相談支援センターが支援の病院を探すというシステムをとっています。いくつかの病院をピックアップして、患者さんの住所をもとに、「この病院が受け入れてくれるだろう」というリサーチをするわけです。これは非常に有効に機能しています。


ルート確保は医師の仕事か、看護師の仕事か


―― 昨年の日本癌治療学会総会で外来化学療法のカンファレンスのセッションが開かれました。そこで、チーム医療の問題になるかもしれませんが、予想以上の盛り上がりを見せた話題が、現場の医師はとても多忙なのでルート確保を看護師にしてもらうことの是非でした。実際、民間病院の中ではそうしている病院もありました。先生はどうお考えでしょうか。


田村 その問題は、国立がんセンターでも議論になっています。私の考えは、すべての看護師が行うわけではなく、ある程度専門化された看護師、例えばがん化学療法認定看護師が行うといいのではないかと考えています。しかしながら、私たちの施設では現在は医師のみにより抗悪性腫瘍薬のルート確保をしています。

医師と看護師、さらに薬剤師がチーム医療を行うためには、それぞれの役割を適宜見直していくことが重要です。ただ、ルート確保を看護師が行うことが医療の効率化につながるかどうかは医療現場の事情によっても違ってくるので、総論として述べることはできません。
 
 例えば、規模の違いも考慮すべきでしょう。以前、私は1日40人から50人ぐらいの外来化学療法をしていた医療機関に勤めていました。その場合は、看護師がルート確保することが非常に機能的に働きます。

一方、国立がんセンター中央病院の場合は1日平均100人、多い日は140人程度ですが、これだけの数をすべて医師の当番制なしに、看護師だけで実現可能かどうか。そして、効率が改善するか、これはよく試算する必要があります。

欧米では看護師に色々な種類があって、専門看護師がルート確保をしているという話があります。臨床試験に携わる看護師、がん化学療法専門看護師、一般看護師などさまざまでマンパワーも比べものになりません。日本の実情からいうと、医師も不足していますが、看護師も十分ではありません。海外の「分業の文化」が日本医療にフィットするか検討しなければなりません。


―― これは、看護師がやるか、やらないかというふうな、単純化した問題ではないわけですね。


田村 そうだと思います。看護師がやるとしたら、どういう看護師がやるのか。ベッドを何回転もさせる上で医師よりも看護師がやった方が、効率が良いのか。待ち時間も含めて患者さんのためになるのかどうか。医師の側面ばかり見ていてもだめです。外来化学療法の問題解決のためにはシステム
全体に目配りし、エンドポイントは患者さんでなければなりません。

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