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がん患者大集会の今年のテーマは「緩和ケア」と「心のケア」です
浜中和子氏 第3回がん患者大集会実行委員長

2007/05/16
日経メディカルCancer Review

 「変えよう日本のがん医療、手をつなごう患者と家族たち。」をメーンテーマにしたがん患者大集会の第3回大会が8月26日(日)、広島市の広島国際会議場で開催される(詳細はこちら)。主催者であるNPO法人 がん患者団体支援機構・事務局長で実行委員長の浜中和子氏(写真)は、今回のテーマを「緩和ケア」、「心のケア」とした理由を、いま日本のがん医療に欠けている課題であることに加え、両方とも広島にゆかりが深い課題だからだと説明する。

―― がん患者大集会は第1回が大阪、第2回が東京でした。第3回は広島です。広島に決まった理由を教えてください。

浜中 よく聞かれますが、がん患者団体支援機構の総会で手を挙げたところが私たちしかいなかったからです。「浜中案」が採択されたということですが、私たちは乳がんの患者団体として、14年間活動を展開してきました。それが評価された結果だと思います。

―― 今年のテーマは。

浜中 がん医療については課題がたくさんありますが、それらすべてを一度に取り上げるわけにはいきませんので、緊急の課題と思われる2点に絞りました。「緩和ケア」と「患者と家族の心のケア」です。重要性は十分認識されていると思いますが、実際にはまだまだ不十分と言わざるを得ないテーマです。

 大切なテーマであると同時に、地元の広島大学医学部は精神腫瘍学(サイコオンコロジー)で日本のリーダー的立場であることとも関係があります。この分野で活躍中の医師が多く、今大会で『「がんと心のケア:希望を支えるサイコオンコロジー」の取り組み』で講演していただく国立がんセンター精神腫瘍学研究部部長の内富庸介先生も広島大学の卒業生です。サイコオンコロジーの紹介だけではなく、「希望を支える」というテーマでお話していただきます。がんになっても希望を失うことはないのだ、そのためにどうすればいいのかということを拝聴したいと思います。

 広島県緩和ケア支援センター長の本家好文氏には「緩和ケアの広がりをめざして」~広島県緩和ケア支援センターの取り組み~』という演題で講演していただきます。広島県緩和支援センターは、全国に先駆けて設置された緩和ケアの専門機関ですが、これまでの実績を踏まえたお話は患者さんへの良いアドバイスになると思います。緩和ケアについては医師にも患者さん家族にも誤解していらっしゃる方が多い。緩和医療はがんの末期になって受けるのではなく、治療開始時から受けるものだという認識が浸透していません。

―― モルヒネが普及しないことが、日本の緩和ケアの大きな問題です。ずいぶん前から指摘されているのに、なかなか進展しない問題ですね。

浜中 なぜ、ここまで進まないのか、私も不思議に思います。先進国の中でモルヒネ消費量が最も低い国が日本です。先日、モルヒネ治療の専門家である埼玉県がんセンター名誉総長の武田文和先生をお招きして、尾道の医師会で勉強会を開いたのですが、その際にもモルヒネが十分に使われない日本の現状が議論されました。武田先生は「患者さんが勉強して、お医者さんに要望していきましょう」とお話をされていましたが、がん患者大集会でも、「患者さん自らが医療側にモルヒネ治療を促すよう」にと呼びかけていきたいと思っています。「痛みをがまんする必要なんてないのですよ、まず痛みを取るところから治療が始まるのですよ」と言うことを患者さんたちに知ってもらいたいし、世の中の誤った認識を改める契機にしたいです。

―― 8月26日に向けた今後の活動方針を教えてください。

浜中 患者や家族の皆さんに関心をもってもらおうと、「がん患者インターネット大集会」(詳細はこちら)を開催しています(5月7日~8月26日まで)。「愛する家族への手紙」、「わたしが救われたあなたの言葉」(いずれも全角800文字以内)という2つのテーマで投稿を呼びかけています(締切:7月20日深夜12時)。投稿は随時、サイト上で公開しますが、当日は冊子にして会場で頒布する計画でいます。また、サイトでは患者の家族や患者会など患者を支援する人たちを対象にした相談窓口も設けて、質問に応じる体制もとっています。

 強調したいことは、患者会が集まって大集会を行いますが、患者会に入っていない患者さんや家族の方々により多く参加していただきたいということです。自分1人だけが患者じゃないのだという「発見」に、私自身どれだけ励まされたことか。孤立していないで参加してほしい。患者さんにとって先輩の患者こそが、最良の医師の1人であることを認識してほしいと思います。

―― 浜中さんは患者会の一員として活躍される一方で、皮膚科の医師でもいらっしゃる。医師であることの何かメリットもしくはデメリットはありますか。

浜中 読売新聞の本田麻由美さんが「患者でもあり、記者でもあり」と言っていますが、私も「患者でもあり、医者でもあり」と言っています。私が医者であることから、先生方を患者会の講師に招聘しやすいということはあります。皆さん、「浜中先生の依頼は断れない」といって快く講師の労を引き受けてくださいます。デメリットは、特にないですね(笑)。

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