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学会トップインタビュー
「がん薬物療法専門医制度の可能性と課題を展望します」
第5回日本臨床腫瘍学会学術集会会長 新津洋司郎氏に聞く

2007/02/07
日経メディカルCancer Review

 日本臨床腫瘍学会の第5回学術集会が3月23日(金)と24日(土)の2日間にわたり、札幌コンベンションセンターを会場に開催される。学術集会の会長を務める札幌医科大学第四内科教授の新津洋司郎氏は、一昨年に第1回の専門医試験が実施されたがん薬物療法専門医制度を日本に根づかせる重要なステップにしたいとか語った。

■がんの薬物療法は変革期にあります。

新津 生存期間を延ばす有効な治療薬が相次ぎ登場してきたこと、積極的に発言する患者さんが増えてきたことが大きいですね。メディアも一時よりもがん医療を支援して行こうという姿勢が強くなってきました。

■日本臨床腫瘍学会の第5回学術集会が開催されるわけですが、企画にあたって、重視したことはどのよう な点ですか?

新津 がん薬物療法専門医制度を日本のがん医療の現場に根付かせることと欧米に比べ、まだ遅れをとっているがん薬物療法のキャッチャアップです。専門医制度は一昨年試験を行い、最初の専門医が誕生しました。昨年の試験の結果も各受験生には連絡が行っているころです。私は、今回の学術集会の会長を引きうけるにあたって、この制度をどのように拡充していくかを取り上げることは使命と考えています。

 2日目の14:50からパネルディスカッション「がん薬物療法専門医の今後の活動」(座長:千葉大学医学部付属病院呼吸器内科の滝口裕一氏、近畿大学医学部内科学腫瘍内科学の福岡正博氏)ではこの問題を集中的に議論してもらいます。

 専門医の知識や技量が医療現場の中で十分に活用されているのか、活用されていないとすれば、どこに問題があるのかを議論したい。また、専門施設を決めているわけですが、その評価をどうするか?この点についても議論できれば良いと思います。

 欧米とのキャッチアップにつきましては、米国臨床腫瘍学会(ASCO)に加え、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)とのつながりも今以上に強めていきたいと考えています。ASCOとはジョイントシンポジウム「“state of the art”therapy for solid tumors based on recent clinical trials」(座長:国立がんセンター東病院副院長の西條長宏氏、Slege博士)を企画、ASCOから3人、日本臨床腫瘍学会から3人の演者が講演する予定です。また、ESMOからは、特別講演者も招請しています。

■欧米とのギャップは大きな問題です。

新津 欧米発の知見を日本で確認するという研究のスタイルがまだまだ主流です。日本発のグローバルな薬ががんの分野では非常に少ない。TS -1くらいです。薬物療法専門医は正確に処方して、副作用をチェックするというのが当然で、創薬も視野に入れた臨床活動を進めていってほしいと思います。

■臨床研修医問題などで、腫瘍内科の講座の中には、学生さん集めに苦労するところも多いようです。

新津 大きい問題です。とくに骨髄移植のように夜も当直していかなければならないという医療は敬遠されがちです。臨床腫瘍学を志す医師の待遇を改善することも、がん医療の質を上げていくためには欠かせません。がん医療の質を高めるためには、がん医療に携わる医師やコメディカルのスキルアップが欠かせません。同時に、その技量を活かしやすいインフラを学会や国が拡充していく必要があります。その目的を明確にした学術集会にしていきたい。そのための使命をもって取り組みたいと考えています。

(聞き手:日経メディカルCancerReview編集長・小崎丈太郎)

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