2022年6月10日から6月17日に日経メディカルOnlineで紹介した5本の海外医学論文のエッセンスを日本語音声でお届けします
(1)BMJ誌から BNT162b2ワクチン4回目接種後の感染予防効果は短期間に減弱
イスラエルMaccabi Healthcare Servicesの研究グループは、BNT162b2ワクチンの4回目接種の有効性を検討する研究を行い、接種後に感染予防効果は増強されるが、3回接種者と比較したその効果は急速に衰えていき10週後にはほぼ見られなくなると報告した。一方で、重症化の予防効果は高く維持されていた。結果は2022年5月22日のBMJ誌電子版に掲載された。
(2)JAMA Ophthalmology誌から メトホルミンは開放隅角緑内障の減少効果が高い
オランダErasmus大学医療センターの研究グループは、2型糖尿病患者の眼疾患発症について検討し、未治療の2型糖尿病患者では開放隅角緑内障、加齢黄斑変性、白内障の累積発症率が高く、メトホルミン、インスリン、スルホニル尿素(SU)で治療していた患者は開放隅角緑内障と加齢黄斑変性の発症率が低かったと報告した。結果は2022年5月19日のJAMA Ophthalmology誌電子版に掲載された。
(3)NEJM誌から 遺伝子改変ブタの腎臓を脳死者に移植した研究
米国New York大学の研究グループは、遺伝子改変ブタの腎臓を2人の脳死者に移植して54時間後まで観察したところ、移植後すぐに尿の生成が始まり、拒絶の徴候なしに生着していたと報告した。結果はNEJM誌2022年5月19日号に掲載された。
(4)JAMA Oncology誌から 5α還元酵素阻害薬は前立腺癌死亡を増やさない
スウェーデンKarolinska研究所の研究グループは、5α還元酵素阻害薬の使用と前立腺癌死亡の関係を検討する大規模前向きコホート研究を行い、その使用は前立腺癌死亡のリスクを増加させておらず、逆に長期間使用すると非使用者に比べ前立腺癌死亡リスクは低くなっていたと報告した。結果は2022年5月19日のJAMA Oncology誌電子版に掲載された
(5)JAMA誌から メチルプレドニゾロンはIgA腎症の転帰を改善
中国北京大学第一病院の研究グループは、腎機能低下リスクの高いIgA腎症患者にメチルプレドニゾロンを6~9カ月投与して腎機能低下に対する抑制効果を調べる臨床試験を行い、プラセボ群に比べ、腎機能低下・腎不全・死亡からなる複合イベントのリスクは有意に低下するが、特に高用量を投与した場合に、重症有害事象の発生率は高くなると報告した。結果は2022年5月17日のJAMA誌電子版に掲載された。