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トピック◎中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)
「心臓の肥満病」の治療薬CNT-01が先駆け指定
日本の潜在患者数は4万~5万人と推定

 「心臓の肥満病」と言われる中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)の治療薬として開発中のCNT-01(主成分トリカプリン)が6月19日、国の先駆け審査指定制度の対象医薬品に指定された。TGCV研究を主導してきた大阪大学医学系研究科の平野賢一氏は、「アカデミア創薬であるCNT-01が指定されたことは率直にうれしい。できるだけ早く患者さんに治療薬を届けるため、有効性を検討する臨床試験を速やかに実施することが求められる」とコメントしている。

 CNT-01は、大阪大学CNT研究室と大阪大学医学部附属病院が開発し、先駆け医薬品指定に申請していた。CNT-01を用いた第IIa相試験では、CNT-01の主成分を含有する食品を用いた臨床研究において、細胞内中性脂肪代謝の改善などが認められている。

 TGCVは、2008年に平野氏らが心臓移植を目指していた重症心不全症例から見いだした新規の疾患概念(N Engl J Med. 2008、J Atheroscler Thromb. 2009)。心筋細胞や血管平滑筋細胞に中性脂肪(TG、トリグリセリド)が蓄積する結果、心不全、心筋症、狭心症などに発展し得る難病と考えられている。TGCV患者では、正常心でエネルギー源となる長鎖脂肪酸を利用できずTGとして蓄積するため、エネルギー不全と脂肪毒性による臓器障害が生じる。2009年から、厚生労働省難治性疾患克服研究事業としてTGCV研究班がスタートし、疾患概念の確立、診断法や治療法の開発が進められてきた。

 TGCVの基本的な病態は、(1)細胞内の代謝異常により、中性脂肪が蓄積する結果、罹患臓器・細胞に機能不全状態を生じる、(2)心筋および冠状動脈に中性脂肪が蓄積する結果、重症心不全・虚血性心疾患を呈する、(3)心臓以外の症状として、骨格筋ミオパチーをきたす症例もある、(4)組織のTG蓄積量と血漿TG値は必ずしも相関しない──などの特徴がある。心筋や冠状動脈に中性脂肪が蓄積することから、「心臓の肥満症」とも言われる(写真1の症例参照)。

写真1 特発性TGCVの1例(提供:平野氏)

 原発性と特発性があり、原発性には細胞内のTG分解酵素であるATGLの遺伝的欠損がある。ATGL欠損症ではミオパチーを合併する。頻度はごくまれで、疑診例も含めると日本では9例、海外では16例が把握されているだけだ。一方の特発性は、心血管病で死亡した剖検心の解析から、日本の潜在患者数は4万~5万人と推定されている。

 CNT-01が先駆け承認となれば、TGCVに対する初めての治療薬となる。

医薬品では3品目を指定

 先駆け審査指定制度の対象品目(医薬品)には、CNT-01のほか、ギラン・バレー症候群の治療薬であるエクリズマブ(遺伝子組換え、アレクシオンファーマ合同会社)と胆道癌の治療薬であるM7824(グラクソ・スミスクライン株式会社)も指定された。

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