日経メディカルのロゴ画像

国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが発表
原因不明肺炎への医療機関の対応を提示

1月17日に改訂されました。
続報◎中国武漢発の新型コロナウイルス関連肺炎
2019-nCoV肺炎への医療機関の対応指針が改訂
国内患者の確認を受け、疑い例の定義と曝露歴を有する患者の診察対応を更新

 国立感染症研究所感染症疫学センターと国立国際医療研究センター国際感染症センターは1月10日、昨年末に中国武漢市で多発した原因不明の肺炎に対する医療機関の対応と院内感染対策を発表した。

 提示されたのは「中国湖北省武漢市で報告されている原因不明の肺炎に対する対応と院内感染対策」。1月9日14時現在の情報をもとにまとめたもので、武漢での原因不明の肺炎の疑い例のスクリーニング、疑い例の定義、疑い例に対する感染対策、検査や対応の流れからなる。

 原因不明肺炎の疑い例をスクリーニングする手順としては、(1)発熱または呼吸器症状を訴える患者に対して、武漢への渡航歴(渡航地域、渡航期間)を聴取する、(2)発熱または呼吸器症状を訴える患者に武漢市への渡航歴がある場合には、武漢市内の海鮮市場への訪問の有無、武漢市内での医療機関受診の有無、武漢市内での病人との接触の有無を確認する、の2項目を挙げている。

 原因不明肺炎の疑い例の定義は、以下の2点全てを満たす場合とした。

(1)発熱(37.5℃以上)かつ呼吸器症状を有している。
(2)以下の(ア)、(イ)の曝露歴のいずれかを満たす。
 発症から2週間以内に(ア)武漢市内を訪問した、(イ)武漢の原因不明肺炎の患者、またはその疑いがある患者と2メートル以内での接触歴がある。

 また、疑い例に対する感染対策としては、「急性呼吸器感染症患者の診察時には標準予防策、つまり呼吸器症状を呈する患者本人には必ずサージカルマスクを着用させ、医療従事者は、診察する際にサージカルマスクを含めた標準予防策を実施していること」を前提とした。そのうえで、定義の(ア)(イ)のいずれかの曝露歴のある患者を診察する場合についても言及。以下の対応を提示した。

 I. 診察室および入院病床は個室が望ましい
 II. 患者の気道吸引、気管内挿管の処置などエアロゾル発生手技を実施する際には空気感染の可能性を考慮しN95マスクを装着する
 III. 患者の移動は医学的に必要な目的に限定し、移動させる場合には患者にサージカルマスクを装着させる

 最後に検査や対応の流れ図(図1)を示した。まずはインフルエンザなどの一般的な呼吸器感染症の病原体による感染症を考慮して、これらについて微生物学的な検査を行うことを優先する。検査の結果、原因微生物が特定された場合には、検出された微生物に必要な感染防止対策を行う。

 原因不明肺炎の疑い例の定義に該当する症例については、こうしたインフルエンザなどの一般的な呼吸器感染症の病原体が否定された場合に、症状が軽症ならば咳エチケット・手指衛生の指導をしたうえで経過観察とする。中等から重症の場合は疑似症サーベイランスの運用について最寄りの保健所に相談する。その際、疑似症サーベイランスの対象の定義を満たす場合には、当該医療機関を所管する保健所に報告するとしている。報告後は、「疑似症サーベイランスの運用ガイダンス(第三版)」に基づき、評価や検体採取、検査が行われることになる。

図1 原因不明肺炎の疑い例における検査や対応の流れ

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ