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21世紀医療フォーラム「医師の育成、大学附属病院のあり方」研究部会 統合後第1回会合が開催
~「医師の育成」研究部会と「臨床研究、大学附属病院のあり方」研究部会の2つの研究部会が統合され、行政府、立法府双方に建設的な提言が可能な組織へ

2009/10/26
21世紀医療フォーラム取材班編集部 桶谷仁志

賀来氏自身も「おざなりの講義をやるぐらいなら、いっそ教える専門家に外注したり、ビデオ授業にしても同じではないか」という意見だった。また、学生は大学時代に医学の知識、技術、社会的な態度などを学び、研修医になって自分自身の「ロールモデル」(理想と考える医師)を定め、それを模範として研鑽を積む。その「ロールモデル」の行動は、学習者の将来の行動に大きな影響を与える。

賀来氏は「ある指導医は教室では患者医師関係の重要性を説いていたが、研修医Aは後に、その指導医が外来で患者に怒鳴っている姿を観察した」という例をあげて、「ロールモデル」の現場での行動の重要性を強調した。

講演後には、活発な質疑応答が交わされた。「講義形式の授業でも、学生と教師、お互いのキャッチボールの努力が必要では」「授業後、学生にアンケートを取って、教え方のレベルを上げる努力をしている大学もある」といった代表世話人からの感想、意見が相次いだ。

すでに提言の柱は固まった 次は民主党へのアプローチを


ゲストスピーカーによる講演の後は、代表世話人からの報告、提言などが発表された。 伊藤雅治氏(全国社会保険協会連合会理事長)は「政権交代と医療政策の行方」について報告し、「民主党が役人をいかに使いこなすかが、マニュフェストを実現する鍵。また与党となった民主党と医師会との関係が今後の大きなキーファクターとなる」と述べた。

齋藤康氏(千葉大学学長)は、民主党が医師養成数を1.5倍にするという政策に対して、「医師がどれだけ必要かの基準は、昭和27年のものしかない。この病棟には、医師が何人必要といった新しい適正な基準を定め、現場に即した計算をした上で、医師養成への道筋をつけるべきではないか」という意見を述べた。

一方、白井厚治氏(東邦大学医療センター佐倉病院院長)は、独自の大胆な「医療政策への提言」「医療従事者への提言」を発表した。「健康管理手帳保持の義務化」「医療保険を強制と自由に分ける」「医療費の病院病棟へのシフト。外来を減らし、入院費を増す」「経験10年以上の熟練看護師の中から准医師を創る」(医療従事者は)「病院全体の臨床カンファランスを開く」「治療成績を公示し、第3者評価を得る」といった内容の提言である。

中川順子氏(野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー代表取締役社長)は、「医療施設数推移」「日米の診療科別医師数の比較」などの最新データを提示した。また、女性医師の活用の仕方についても「女性医師は男性とまったく同じ条件で働くのは難しい。例えば、出産後の女性医師が、看護師として働き続け、現状の看護師よりも少し高いレベルの仕事ができるようになれば、かなり違ってくる」との意見を述べた。

一方、三谷宏幸氏(ノバルティスファーマ社長)は「これまでは、まず財源投入の話をし、医療全体の制度設計をしようという話をした。これからは、細かい各論に拘泥するよりも、財源投入と制度設計という骨格に、肉付けをする作業が先決ではないか」と話し、研究部会として、できるだけ早く具体的な提言をまとめ上げるべきだと強く主張した。

ここで、前出の大島氏は「大学病院は教育、研究、診療の3つをやらなければならないという呪縛から脱するべきだ」と述べ、さらに「大学病院は最先端の医療を追求すべきだが、全国の80大学がすべてそうなればいいかというと、話は別。総合医を養成する大学病院があってもいいし、何らかの役割分担が必要ではないか」と問題提起を行った。

この意見に対して、統合後の「医師の育成、大学附属病院のあり方」でも座長をつとめる予定の門田氏は、「先端的な医療と臨床研修は矛盾する」と応じた。「この矛盾を打開するためには、大学の壁を取り払って、開業医から市中病院、大学病院にいたるシームレスな教育、診療システムを作り、動かすべき。最初に、大阪でそのシステムを立ち上げられないかと考えている」と、この問題への解決法の一端を示した。

一方、「医師の育成、大学附属病院のあり方」研究部会でも、門田氏と並んで引き続き座長をつとめる予定の森山氏は、「地域ネットワークといっても、私立と国立、都会と地方では、形は違うはず」と注意を促した。さらに「総合医は、大学病院の中に限定せず、地域ネットワークの中で育てる制度を考えるべきだ。また、地域ネットワークのあり方を考える時にも、避けて通れないのが、フリーアクセスの医療制度。日本のようなフリーアクセスの制度を導入している国は、世界でも類がない。受益者である国民が、この制度を節度をもって使うようにしないと、次の世代までに、日本の医療は崩壊するかも知れない」と述べた。

伊藤氏は、今後の「医師の育成、大学附属病院のあり方」研究部会が目指すべき方向性を示唆した。「提言の柱はもう固まってきている。今後は、民主党のキーパーソンに働きかけをしていくべきだ」。

これを受けて、司会の阪田も、早急に民主党へのアプローチを開始するとした。また、アクセス数の多い統合情報ポータル「日経BPネット」の中に、現在の「21世紀医療フォーラム」サイトのエッセンスをダイジェストした新サイトを立ち上げ、そこで医療問題に関する独自のアンケートを実施する計画も披露し、統合後第1回の研究部会を終えた。

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