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うつ病の発見と寛解(治癒)を目指す精神科治療。リワークサポーターという新たな“援助者”を創出 第2回

2009/09/16
横浜クリニック院長 精神科医 山田和夫 氏

各県に障害者職業センターというのがありますが、そこの中心が今は「うつ病」になってきていて、職場に適応できるようジョブコーチを派遣したり、「職場復帰支援プログラム」を行ったりしています。そういった地元の社会資源を活用するのもいいでしょう。

―復職に当たって、本人や迎える会社側が注意すべきことは何でしょうか。

山田:病み上がりなので、すぐにフルタイムでは働けないこと。最初の1ヵ月くらいは、慣らし勤務が必要です。最初からいきなり9時~5時勤務だと、1~2ヵ月くらいで、再びダウンしてしまいます。

復帰した職場が、うつになる前と同じような状況で同じようなストレスがあると再発しかねないので、職場調整も必要です。そのためにも、職場の上司、人事課または総務課、産業医と連携をとってサポートしていくこと。

産業医は精神科ではないことが多いですが、今は「うつ病」の知識もかなり持っていて、それなりにはやれる。ただ、けっこう判断は厳しい。例えば1ヵ月の「リハビリプログラム」をつくったら、最後まで遵守させるというのではなく、“少しダメになったら、ちょっと減らす”、または“全体の計画を変える”とか、そういう柔軟性をもって臨んでほしいと思います。

「バイオ」「サイコ」「ソーシャル」の3方面からのサポート。 援助者としての『リワークサポーター』創出も急務

―リワークが成功するポイントは?

山田:「復職していい」という見極めです。その人がどの程度完治しているのか、どの程度の負荷をかけていいのか、そのレベルを把握できるかどうか。ちょっと過剰な負荷を与えるとダメにしてしまいますが、少し軽い負荷をかけていくとヤル気が出てきます。

「うつ病」という心の病には、「バイオ」「サイコ」「ソーシャル」という3つの側面が関係しています。したがって復職していく場合も、この三つの方面からのサポートが必要になるわけです。今は、その「ソーシャル」の部分が抜けていることが多い。

リワークを目指す本人と密着してサポーター的な役割を果たし、職場にうまくアダプトするように受け入れ側の態勢を整えるジョブコーチ的な存在、これを私が主宰している「うつ病リワーク」研究部会で『リワークサポーター』と呼んでいますが、このような“援助者”が必要です。

私は薬物を中心に、認知行動療法のできる臨床心理士による心理的サポート、フットワークのいい精神保健福祉士に会社に出向いて上司と話し合ってもらうなど、いろいろと組み合わせることで、「バイオ」「サイコ」「ソーシャル」の3本柱がうまく連携をとれるようにして、復職を目指す方法をとっています。

――再発予防のためにも、会社が取り組むべき課題は?

山田:ガマンしていることに気づかず、自殺という事態を避けるのが急務。残業が100時間を超えると、かなりの率でうつ病が出てきます。労働安全衛生法の改正で残業が80時間以上で必ず産業医の面接を受けるとか、100時間を超えたら精神科医の面接を受けることが制度化されました。

会社の健診は、今はメタボ対策が中心ですが、同じくらいメンタルヘルス対策が望まれます。「ベック」とか「SDS」といった精神面のチェックを、半年に1回の定期健診のなかに組み入れて、評価点数が“要面接”となれば、精神科医の診療を受けるなどという取り組みが必要です。

―ありがとうございました。

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