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うつ病の発見と寛解(治癒)を目指す精神科治療。リワークサポーターという新たな“援助者”を創出 第1回

2009/09/08
横浜クリニック院長 精神科医 山田和夫 氏

きちんとうつを診断できる内科のドクターはまだまだ少ないのが実情です。だから、採血したり、心電図をとったりする。すると、「運動不足による脂肪肝」など、メタボのような兆候が現われます。そこで一番短絡的に結びつくのが、「生活習慣病による倦怠感」。

肝心のうつを見抜けずに、ビタミン剤や疲れを取る薬が投与されます。仮に、ひょっとしたら「うつ」かもしれないと思っても、内科医は抗うつ剤の投与をためらい、少し“抗うつ効果”のある精神安定剤を投与することが多い。これはお酒と同じで、飲めばちょっと気分がほぐれる。ところが治療効果は全くありません。そういった曖昧な診断と曖昧な治療の中で、うつが悪化していくのです。

うつ病の治療は、1週間、2週間単位で診ていく必要があり、少し時間がかかります。ところが、患者さんは明日にも出社しなくちゃいけない、待ったなし状態。薬を飲めば、すぐにでも倦怠感が取れて出社できるようなイメージを持っているが、そうではありません。

根気よく飲み続けること。そのためには、間違いなくうつ病で、処方薬が合っていて、薬の量も十分であること。主治医はそういう確実感を持って治療に当たる必要があります。

次に重要なのは、薬の量です。内科医は「抗うつ剤」を出すにしても、せいぜい初期量ですが、とりあえず普通くらいの中等量を出した場合に、1ヵ月、2ヵ月で治ってくる人が4~5割。3ヵ月くらいまで服用すると6割くらいが治ってくる。

これはだいたいどの薬にも共通しています。残り4割は、そのままの量を維持していると、ずっと寛解(治癒)しないことが多い。この4割の人を寛解にもっていくためには、もう1段階上の十分な量、ある意味ではその薬剤の最大量を投与します。

それで半年くらいのあいだに8割くらいが治りますが、最後の2割は、治療抵抗性とか、難治性、遷延性と言われ、完治しません。

―つまり専門医による“きちんとした治療”を行えば、うつ病患者の8割は治癒するということですね。現在その数字が達成されていない背景には「薬の用量」「薬の使い方」に問題があるのでしょうか。

山田:中核群のうつ病の人というのは、三環系のような強い抗うつ剤を飲んでも、全く副作用がありません。周辺群になるにしたがって、副作用が出やすくなります。周辺群でも副作用が出ないのが、今主流になっているSSRIとかSNRIです。

十分な量の薬剤をきちんとした期間使うことで、その人の体調の80%くらいのところまで治します。残り20%をどうするか? いろんな薬の工夫をします。2週間ごとに通院してもらいながら、薬の量や組み合わせを変えて、効果をみていきます。

十分な量を十分な期間使って、寛解の後もすぐに薬を漸減せず、半年ほどは投与を続けることが重要です。(第2回に続く)

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