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うつ病の発見と寛解(治癒)を目指す精神科治療。リワークサポーターという新たな“援助者”を創出 第1回

2009/09/08
横浜クリニック院長 精神科医 山田和夫 氏

横浜クリニック院長 精神科医 山田和夫 氏

うつ病患者数の増加が社会的損失となっている。その背景には未曾有の不景気や、うつ病に対する理解のなさなどが指摘される。担当した患者のリワーク(復職)率ほぼ100%を誇る精神科医で、『不安・うつは必ず治る』という著書もある山田和夫氏(東洋英和女学院大学教授・和楽会 横浜クリニック院長)に、うつ病による休職の実態と問題点をうかがった。
(聞き手:クロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:原田英子)

「失業→うつ病→自殺」 負の連鎖を断ち切るために

―うつ病患者数が右肩上がりに増えています。企業では、うつ病による休職者問題に頭を悩ませています。

山田:現代はいろいろな意味でうつ病になりやすい時代です。まず、正社員が減って派遣社員が増えてきた。そういう社員構造の変化が、それぞれに大きな負荷をかけ、正社員には成果主義が求められ、過重労働をもたらした。

これに対するサポート態勢も整っていなければ、社内連絡はパソコンでメールを通してするなど、人間的な関わりも希薄です。100年に一度の大不況、働いても年収300万円以下というワーキングプアの問題、派遣社員切り、クレーム社会、株価の下落など、うつ病を生む要因は枚挙にいとまがありません。

メンタル的には、非常に生きづらい世の中です。日本では、自殺者数は完全失業率に比例するという特徴があります。ここ数年、自殺者数は増え続け、うつ病は放置されているのが現状です。うつ病も会社のなかできちんと守られて社会復帰していくには、ある程度経済的余裕がないとできません。

うつ病を治療して復職するにしても、うつ病に対する理解が乏しい会社が多く、復帰した以上は「しっかり働いてもらわなくちゃ」という風潮があるため、まだ体力が十分でないにもかかわらずフルに働いて、またダウンしてダメになるケースも多々あります。

従って、これからはうつ病に対する理解と、うつ病になった人たちを救う会社内でのサポートが非常に重要になると思います。まずは、企業の管理職の人向けに、“うつ病とはどんな病気なのか”などをテーマに、基本的な啓蒙活動を行う必要があります。

発見を遅らせる精神科受診の“敷居の高さ”

―うつ病について、まず知っておくべきことは何でしょう?

山田:うつ病の最も顕著な症状は、「全身倦怠感」です。朝ベッドから起き上がるとき、「どうも体がだるくて、重い」。ところが、その症状がうつ病によるものとは思いもしないし、思いたくもない。

そして、うつ病の一番の問題点は、精神科にかからないこと。その結果、“うつ病が発見されない”ことなのです。最初に受診するのは内科で64%。精神科を受診するのは、わずか10%です。

本人も内科医も、「全身倦怠感」で疑うのは、「疲労」「風邪をこじらせた」「肝機能障害」などの体の病気が圧倒的。「うつ」という言葉自体は一般にも広まったし、知識もある。“落ち込んで悩んでいる”“仕事がはかどらない”といったイメージもあるが、ホントのうつの状態は分かっていない。

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