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「臨床薬剤師 漢方」研究部会 第2回会合を開催 
薬剤師の卒後・生涯教育における“自発的努力”で「漢方」が培われている。漢方の専門知識を有する薬剤師が積極的に治療参加するモデルづくりを

2009/08/12
21世紀医療フォーラム取材班デスク 油井富雄

 木村氏は、「よく学生に言うことは、“風邪を漢方で治せる薬剤師になれ”です」と語る。これを補足すると、西洋医学の「熱が出たから解熱剤」「咳が出るから咳止め」といった発想では、風邪の根本治癒にはならず、「熱、咳などは、身体の防御反応であり、風邪症候群をいくつかの段階(漢方医学の病期)に分けて、処方を変える漢方治療の方が理にかなっている」のである。

「風邪に関する漢方薬は40処方ぐらいあり、これをその患者の症状に合わせて処方できるようになれば漢方の薬剤師としては、基本的な漢方の初歩を学んだという次元でもあるのです」(木村氏)。 実際に、これらはここ数年徐々に国民に認知されつつあるが、“風邪は漢方の方が的確な対処”という意識が広まることは、漢方の認知度向上に大いに貢献するはずである。

 木村氏の講演の後、都築仁子氏は、「漢方が広く国民に認知され、“漢方治療”というジャンルを国民自らが選択し、容易にアクセスできる状況にすることが大切。また、漢方を治療や養生に役立てることが、西洋医学第一主義の日本において、医療全体の充実や国民の医療への満足度につながるのではないか」と述べた。

 中村直行氏は、「漢方薬は、木村先生が指摘された“風邪の漢方”のように、西洋薬のような病名投与ではなく、患者個人個人の症状や時期に合わせたテーラーメイド医療といえる。日本東洋医学会でも、患者が漢方薬を使った満足度が90%以上というアンケート調査もある。医療がキュアの部分からケアの比重が高まり、ますます漢方の需要は増えていく。これらを現場で使える薬剤師や医師の養成が必要。また漢方は、薬だけではない、鍼灸や養生法も併せて考えるべきだ」と指摘した。

 さらに中村氏は、臨床薬剤師について、米国の現状を取り上げ、「米国では、薬品の知識の豊富さや技術の習得度という基準で、薬剤師そのものが、さまざまに分化している。日本でも、臨床薬剤師は一律の仕事をこなすだけではなく、分化していくことになるだろう。この中で、漢方に特化した臨床薬剤師もあってもいいのではないか」と述べた。

家庭医の場合の漢方やモデルケースの提示を

座長の津田氏は、「鍼灸で漢方理論をマスターした本来の“漢方医”の実現。そして、薬剤師から漢方医を創ることが本研究部会のテーマ。しかし、これらを実現してくためには、医師、薬剤師が、西洋医学を修めるのが基本になっていることや、漢方に習熟するためには、西洋医学を修めた上で、“卒後教育”や“生涯教育”の中で、本人の漢方に対する情熱が支えになっている現実を直視する必要がある」と指摘。そのうえで、「実際に医師が携わることが難しい分野で、漢方の知識をフル活用した薬剤師が必要なケースは想定される。私の専門である家庭医というジャンルでも、漢方は大いに活用できる部分があり、薬剤師が漢方の専門家として、主体的に治療参加するというモデルを作る必要があるのではないか」と語った。

 第2回会合では、「薬学部教育の中での漢方教育の比重の軽さ」「今後、薬剤師が漢方分野での活躍の場を広げる方法」、そして「漢方分野での薬剤師の積極的治療参加のモデルづくり」など、主に漢方についての議論が交わされた。次回第3回会合では、これらの議論を深め、漢方に関連する提言づくりと、薬学に関する専門知識を有し治療に積極的に参加する薬剤師の将来像である『臨床薬剤師』について、討議が行われる予定である。

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