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昨今の米国薬剤師事情

2009/07/24
一般社団法人 統合医療福祉中村直行研究室 中村直行

米国の臨床薬剤師

Clinicalという形容詞が付いているように、米国の臨床薬剤師は、薬学部を卒業した後、実際に腫瘍、感染症、老年医療、小児医療等々の研修を数年間受けることによって、臨床の知識と経験を身につけます。

特に、Oncology(がん)の分野では抗がん剤、それに伴うPain(がん性疼痛)の分野でも鎮痛剤の処方箋の作成で中心的な役割を担ったり外来診療や入院患者の回診にも立ち会ったりしています。

この臨床薬剤師育成のための教育は、1960年代にカリフォルニア大学で始まりました。背景には、薬物治療における患者の安全や利益を前提とする質の高い医療を目指すために薬剤師の直接的な医療への関与が重要と考えられたことがありました。

その後、米国における薬学系の大学の多くが、この教育を導入するようになり現在に至っています。言い換えれば、それまでの調剤や薬品管理業務に加えてさらに医療に深く関与することの必然性が広く国民に認知された結果、臨床薬剤師が普及してきたと言えるかもしれません。

実際に1990年代になると、直接的に患者のケアに責任を持ち、治療の質的改善を目指すpharmaceutical care(ファーマシューティカルケア)という概念が米国薬剤師会を中心に提唱され、今般のpatient oriented(あるいはcentered)careという患者志向のケアと連関性を持って来るようになりました。

現在米国には、Pharm.D.(Doctor of Pharmacy)という資格もありますが、臨床薬剤師が果たしている責任と役割の重さや大きさを示していると思われます。視点を変えますと、病気を対象とした薬物治療の有用性は積年のメタデータ蓄積による成果が証明していますが、病人を対象とする医療における薬剤師の専門性も評価され定着し始めてきたようにも窺えます。

参考文献
『米国社会における薬剤師①』陳 惠一 2005年6月 BS投薬アワー
『医療費削減政策を考える 第2回危険にさらされる患者たち』上 昌広 2009年5月 MRIC 医療ガバナンス学会 
『Role of Pharmacy Technicians in the Development of Clinical Pharmacy』
The Annals of Pharmacotherapy Volume40 Jan M Keresztes 2006 November
『American college of Clinical Pharmacy』 http://www.accp.com/index.aspx 2009年6月アクセス

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