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昨今の米国薬剤師事情

2009/07/24
一般社団法人 統合医療福祉中村直行研究室 中村直行

この訴訟で、一方では研修医の超過勤務による疲労や薬物相互作用の知識等が問題になりましたが、他方ではコメディカルである薬剤師の専門性がクローズアップされました。もし、この時薬剤師がいて、医療チームの一員として医師や看護師、そして患者とコミュニケーションを密にして対応できていたら、状況は異なっていたかもしれません。

1986年、大陪審は結局不起訴を決定したのですが、薬のレファレンスシステム、コメディカルの人数、研修医の勤務時間などについて、病院体制に問題があると報告しました。

その後、この病院では薬剤師が夜間・休日も病棟ごとに交代制で常駐し、薬の量や併用などに関する医師からの質問に答える体制となりました。さらに、この訴訟が契機の1つとなり、患者の安全を確保するために「the Patient and Physician Safety and Protection Act」が2001年に制定されました。

この法律は、医師の勤務時間を減らすことも盛り込まれていますが、そのために看護師や薬剤師などのコメディカル増員も規定しています。このように、米国の医療において、薬剤師は社会的信頼度の高さだけでなく重要なチーム医療の一員として認知されているのです。

薬剤師の専門分化

米国の薬剤師免許は2年毎に更新され、その間に30時間の卒後教育が義務付けられています。新薬の知識習得に留まらず、新たな法律や制度に関する勉強やOTC医薬品やジェネリック医薬品に関する勉強も含まれます。

また、前述のように薬剤師の仕事は専門分化され、様々な分野で独自性を有しながら必要に応じて関係者と協働しています。具体例を見ますと、一般的な肩書だけでもAcademic pharmacist、Clinical pharmacist、Community pharmacist、Compounding pharmacist、Consultant pharmacist、Drug information pharmacist、Home Health pharmacist、Informatics pharmacist等々、多岐に亘っています。

学術や研究部門、医療のチーム、町の薬局、家庭等々でその専門性を活かしているといえますし、医療機関等では薬剤師を補助するPharmacy Technicianという職種も合法化され、4万人以上が薬剤師1人につき1:0.8の割合で調剤等に従事しています。

わが国で臨床薬剤師と呼称されるのは、米国のClinical pharmacist とほぼ同義とみていいと思われますが、まさにチーム医療の一翼を担っているのです。

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