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昨今の米国薬剤師事情

2009/07/24
一般社団法人 統合医療福祉中村直行研究室 中村直行

 21世紀医療フォーラムの医療問題解決プロジェクトの1つ、「臨床薬剤師 漢方」研究部会に参加しています。わが国では、臨床薬剤師の必要性や有用性が最近声高になりつつあるようですが、そもそもこの臨床薬剤師は米国で発祥したものです。そこで、米国における薬剤師事情を垣間見ながら、その特徴や方向性を俯瞰してみたいと思います。

米国における薬剤師の社会的評価

現在米国にはおよそ25万人の薬剤師がおり、毎年3000人程度の薬剤師が誕生しています。わが国の薬剤師の数も25万人程度で、平成21年の薬剤師国家試験合格者は11000人を超えましたので、人口当たりの数だけの比較でみればわが国には明らかに米国の2倍以上の薬剤師がいることになり、今のままでいけば今後その差はさらに広がることになるでしょう。

米国の薬剤師もわが国と同様、薬局や医療機関に限らず様々な分野で活躍をしているのですが、米国の社会からはどのように評価されているのでしょうか。

Gallup社の行っているアンケート「Honesty and Ethical Standard」(職業別)では、薬剤師は信頼できる倫理規範の高い職業であるという結果が出ています。換言すれば、社会的信頼度の高い職業と受け止められているようです。

訴訟の多い米国においては医療訴訟も日常茶飯事ですが、包括的医療が台頭する中で薬剤師も調剤過誤等で訴訟の対象になる場合も出てきます。その際には、社会的信頼度の高い職業であることが大きな意味を持ってきます。

ご記憶の方もおられるかと思いますが、1984年にニューヨーク市の新聞コラムニストSidney Zion氏のご息女が、抗うつ剤の服用による発熱、ふるえ、脱水などのために両親に連れられ救急外来を受診しましたが、翌朝6:30に心肺停止により亡くなりました。

元検察官でもあったSidney Zion氏は、病院に対して民事訴訟を起こすと共に、大陪審に対し刑事事件として起訴するようにも働きかけました。彼は、ご息女の死が誤投薬や医師やコメディカルの不足等々病院側の不手際や体制の不備に起因すると主張したのです。

ご息女の担当は研修医だったのですが、服用していた抗うつ剤のフェネルジンと病院で処方された鎮痛・鎮静効果のあるメペリジンとの相互作用を知っていたか否かという点が議論されました。

ご息女がコカインも使用していたことが後で判明しましたが、このコカインもメペリジンとも相互作用が起きるため併用してはいけないとされています。その事実を担当医に告げたかどうかも争点のひとつになりました。

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