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「治療中心の医療」から「トータルヘルスケア」へのパラダイムシフト
21世紀医療フォーラム『21世紀ヘルスケア』研究部会を開催

2009/05/16
21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒

辻 哲夫 氏(東京大学教授)

世界に類を見ない超高齢社会を迎えた日本では、人口の高齢化、疾病構造の変化にともない、新たな医療パラダイムが求められている。さる3月26日、東京・日比谷で行なわれた21世紀医療フォーラムの専門研究部会である、『21世紀ヘルスケア』研究部会第1回会合では、21世紀型医療のあり方が討議された。

 『21世紀ヘルスケア』研究部会の座長は元厚労省事務次官で、この4月から東京大学教授に就任した辻哲夫氏。厚労省在職時代に特定検診、特定保健指導や後期高齢者医療制度など、少子高齢化が進む中での医療制度改革に取り組んだ。

 辻氏は、今後50年間の人口構成の推移を示し、「2005年には65歳以上の高齢者が20%だったが、2030年には32%、2055年には41%に達する」とした上で、「今後20年間に高齢者人口は首都圏をはじめとする都市部を中心に増加し、高齢者への介護サービス量の増加が見込まれる」と分析した。さらに、医療機関において死亡する者の割合が年々増加しており、近年では8割を越える日本人が医療機関で亡くなっている現実を示した。(図1、2、3、4)

図1 人口ピラミッドの変化(2005年、2030年、2055年)─平成18年中位推計─
図2 都道府県別高齢者数の増加状況
図3 医療機関における死亡割合の年次推移
図4 死亡の年次推移

 さらに、辻氏は、「長期の健康・疾病管理を必要とする慢性疾患の増加など疾病構造の変化は、平均寿命と健康寿命の乖離を生み出し、高齢者の晩年が健康とはいえない状態に置かれている。WHO(世界保健機関)は、健康とは『単に身体的に良好であるだけでなく、精神的・社会的に良好な状態』と定義しているが、超高齢社会を迎えた日本において誰もがよりよい老後を実現させるためには、治療中心だけの医療からの脱却が求められている。すなわち、従来の『治療中心の医療』から、『それだけでなく病気予防から後期高齢期の生活を支える医療までのトータルな医療』へのパラダイムシフトが必要である」と、この研究部会のテーマ、討議の意義について述べた。

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