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21世紀医療フォーラム
「臨床研究・大学附属病院のあり方」第1回研究部会を開催
疲弊する特定機能病院、急性期病院へ。
人的・財政的資源の投入を

2009/04/20
21世紀医療フォーラム取材班編集長 桶谷仁志

左:門田守人氏(大阪大学副学長)
右:伊藤雅治氏(全国社会保険協会連合会理事長)

大学附属病院の本来の機能は教育、研究、診療だが
独法化で診療にほとんどの時間を奪われている

「臨床研究、大学病院のあり方」研究部会は、座長の門田守人氏(大阪大学副学長)の問題提起から始まった。

門田氏が担当理事をつとめる大阪大学附属病院は、独法化にともなって、経営改善係数と効率化係数の達成のために日々努力している。現場の医師の頑張りによって、病院経営自体は何とか赤字を出さずに推移しているものの、臨床研究の論文数が激減してしまった。

「大学病院の医師の本来の仕事は教育、研究そして診療のはずですが、診療にすべての時間を奪われる危険性が出てきている。教育は現場で実習をしながら辛うじて維持しているが、最終的にしわ寄せを受けて削られるのは臨床研究です。また診療にしても、先端的な医療は時間がかかる割には診療報酬が低いので、できるだけ通常の診療の数をこなす方向になる。こういう方向性を進めていくと、大学病院は、一般の市中病院とどこが違うんだということになるのではないか」

こうした問題提起に対して、伊藤雅治氏(全国社会保険協会連合会理事長)は、厚生省の課長時代に手がけた第3次医療法改革で、特定機能病院という類型を作った際の、省内の議論について明かした。

「特定機能病院は、普通の市中病院とは機能的に違う。その機能は教育と研究と診療です。この3つの機能をきちんと果たしていくためには、診療報酬とは別に、教育と研究に関して財源の手当が必要なのではないかという議論が当時からありました。ところが、これについてはっきりした方向性が示されないまま、国立大学が独法化され、医療費の総額抑制政策が続いて、いまや病院全体が疲弊した状態になっている。独法化のあり方の見直しと、臨床研究のインセンティブを落とさないような仕組み作りが課題になっています」

一方、齋藤康氏(千葉大学学長)は、日本の臨床研究のクオリティが低いのは、臨床研究を低く見る伝統も影響しているのではと指摘した。

「基礎研究こそが研究だという思い込みが、日本の臨床医の全てではありませんが多くありました。そこを建て直して、臨床研究が生み出す新しい知見の重要性をクローズアップし、研究環境を整備していかないと、臨床研究は盛んになりません。その環境作りという点で、国の政策はまだまだ不十分だと思いますね」

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