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「がん検診」衰退に歯止めを。日本には、早期に「予防医療」を確立することが必要

2010/06/25
医療法人社団同友会理事長 高谷典秀 氏

疾病予防と食生活との関わり。
機能性食品の効果と医師の立場


――普段の食生活の中で、トクホなどの機能性食品と疾病予防の関係については、どのように考えていらっしゃいますか。

高谷 食生活を見直したり、運動習慣をつけたり、それは疾病予防の中でも、特定保健指導との親和性が高い領域です。補助食品として、どういうものを使ったら効果があるか、例えば、京都工場保健会診療所長の武田和夫先生が提唱している「春雨ダイエット」という提案はなかなかいいアイディアだと思うし、メタボ改善の良いサポートになると思います。そういうことは考慮してみてもいいかなとは思いますが、売る側の企業が入ると、どうしても商業主義的なところが出てきてしまうので、それとのせめぎ合いになります。特にトクホは、エコナ問題で信頼が薄れたこともあります。

武田和夫先生のように、医師が医師としての見識と能力で関わって、「食品」の機能性について研究検証し、指導していくならば、ある程度、有意義だと思います。ただ、それを売ることで利益を上げるというスキームにしてしまうと、行きすぎという気がします。

――食品はゆるやかに影響を与えるが「薬」ではありません。「薬」ではないから、ある症状に対する効果については、推奨することが難しいのでしょうか。

高谷 厳然たる事実としては、“効果があるとかない”とか、医師が言う時は、それを使うことによって、患者さんの訴えている症状を改善させることができるか、画像診断に良好な変化が見られるか、そういう価値判断しかないと思います。

「薬」は、それまでにたくさんのテストを経て、薬事を通り、いろいろなエビデンスもあって信頼度が高いからこそ、医師も自分なりに勉強し、論文などにも目を通して納得の上で処方するわけです。

おそらく食品でも、似たような効果を持ったものはあると思います。でも、医師が、「これは効果がある」と判断して使うためには、エビデンスがはっきりしている研究結果がないと、その食品効果を信用して、患者さんに自信をもって勧めることはできません。

漢方もそうですが、副作用も少ない代わりに効果が弱いということになると、実際にその効果の判定が難しく、また、多人数を長期に見るようなテストでなければ判定できません。食品でそれほど大規模な研究というのは、 物理的にも金額的にも難しくなってしまいます。

ただ、1つの商品でなく、例えば「難消化性デキストリン」のような物質を推奨することについてはやぶさかではありません。「難消化性デキストリン」は、さまざまな商品に使われていますが、実際に血糖や中性脂肪の上昇を抑制する効果があるという研究報告がされておりますし、ある程度、効果が証明されてきたという歴史もあります。

「難消化性デキストリン」を使った商品の一例として『賢者の食卓』は有名ですが、その類のものは、いろいろな会社が商品化しているので、そういうアプローチの仕方なら、やろうと思えばできなくはないです。いずれにしても、1社の商品を推してしまうということになると色がついてしまうので、そういうジレンマはあります。

――最後に、21世紀医療フォーラムの代表世話人のお1人と して、今後、どんなことを発信していきたいとお思いですか。

高谷 代表世話人の方々は、ドクターズボード、マネージングボードとも、錚錚たるメンバーであり、重鎮の方ばかりです。そんな中の一員として加えていただいたことを非常に光栄に思います。経験と実績に裏打ちされたさまざまなテーマと、実際の活動の片鱗に浴し、その枠組みの素晴らしさも感じています。

「健診・疾病予防」という分野は、なかなか日の当たらないところではありますが、この分野の大切さを、このような素晴らしい土俵の上で発信させていただくことで、少しでも「健診・疾病予防」に光を当てることになり、啓蒙活動につなげられればいいなと思います。

そして、私自身は、「健診・疾病予防」分野以外でも、循環器内科医として患者さんに接したり、大学で教育や研究をしたり、さまざまなフィールドでの医者としての経験もあるので、日本の医療行政にぜひ発展的な影響を与えられるよう、メンバーの中では最も若いという立場ならではの意見を発言することで、多少なりとも活動を活性化することができればうれしく思います。

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