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「赤字病院と赤字病院を統合して黒字へ」。困難なミッションを達成し、地域中核病院の新しい形を創る

2010/06/09
枚方公済病院院長 田中一成氏

「原資ゼロ」の中で、プレハブ病棟を建てる



枚方公済病院新棟の正面

――統合したら病床も増やさなければなりません。「原資がゼロ」でどうやって統合したのですか。

田中 新香里病院も京阪奈病院も150床程度の病院だったので、統合にあたっては300床の病院にしなければなりませんでした。原資はないけれども、京阪奈病院には土地があったので、プレハブの病棟を建てました。プレハブ病棟ですから、見た目は悪いけれど、病室内部さえしっかりつくれば、いけるだろうと思いました。

そんな工夫をして、僕が病院長になって5年間で、入院収入をなんとか3倍にしたのですが、外来患者さんはなかなか受診してくれませんでした。もともと京阪奈病院は、結核病院だったので、イメージ的に「受診したくない」という患者心理が働いていました。

――大変なご苦労の中で、統合後の枚方公済病院を軌道に乗せられ、今年の4月には新病棟も完成しました。

田中 新病棟だけではなく、手術室、中央診療部門に加えて病棟外来部門を新築しました。300床の病院を軌道に乗せるためには、毎日900人の外来患者さんが受診しないと、経営的には難しくなりますから、外来患者さんを増やすことが何よりも重要だったのです。

循環器を中心に救急医療が行われるようになるとコメディカルの士気も高まり、自発的に当直勤務をする人達も出てきました。そんなことから病院の雰囲気も変わりました。かつて、新香里病院時代、「外来患者さんが、1日300人も来たら、私たちはやっていけません」と、言っていた病院職員がいつの間にか、「先生、外来患者さんが400人しか来ません。どうしましょう」と、言うほどになりました。いま、それと同じような意識の変革が、統合後にも起こりました。そして、新病棟で診療が本格化すれば、名実とも地域中核病院として、地域医療に貢献できると思います。


枚方公済病院外来

――枚方公済病院の今後の展開についてお聞かせください。

田中 手術室が2つから5つになり、将来的には癌治療にも取り組みたいのですが、すぐになんでもできるわけではないので、これから徐々に診療態勢を整えていきたいと思っています。現在、医師数は41名で、耳鼻咽喉科や口腔外科などでは手術ができる体制が整っていませんが、これからはこれらの診療科でも手術ができるようにするなど、充実させていきたいと考えています。

消化器内科もレベルは高いのですが、マンパワーが足りません。全国共通の悩みではありますが、医師の確保が最も難しい課題です。循環器以外の病診連携も含めて、充実させていかなければならないし、さらに今後は、研修医の受け入れを含めた教育、あるいは研究にも力を注ぐ必要があります。経営の上では、病院事務職員の置かれている環境をどう改善していくか考える必要があると思います。

サラリーマンの場合、日常業務が「企業の業績や収入」に直結しているのに対して、病院事務職員は、縁の下の力持ち的役割が多い。また、現在の診療報酬システムでは、その存在が認められているとは言い難い境遇です。ですから、病院事務職員のモチベーションをどのように高めるかも課題の1つです。

――今後、研修医の受け入れについては、京大医学部の卒業生が、まずは対象になりますか。

田中 そうですね、まずは京大、滋賀医大、大阪医大の付属病院とその関連病院の研修医が対象になると思います。今年の4月から、後期研修が終わった循環器の医師が来てくれますが、来年くらいから、後期研修医を受け入れていかなければなりません。地域中核病院でたくさんの患者さんを経験できることは、若い医師にとっても魅力的だと思います。

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