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医療分野に特化した経営ニーズへ、適確なソリューションを提供

2010/05/10
野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー代表取締役社長 中川順子氏

――余剰資本は要らないという考え方ですね。社会保障の中で、「病院は、最低限のセーフティネットである」という観念が染み付いている。

中川 医療法人は、例えば「儲かりました」と、言った時の会計上の内部留保、キャッシュが残っているかどうかは別にして、それが残ってしまうことによる相続の難しさということが起こる仕組みになっている。ここを抜本的に変えようと思えば、とても大変なことになるのですが、逆におもしろい変化になると思います。

単純に株式会社に移行するというやり方だと、誰も儲からないことはやりたくないので、たぶん医療そのものに関して、歪みが起こるでしょう。

――医療の中にマネージメントを入れることで、単年度ビジョンから、10年、20年、30年先の病院経営をどうするかというビジョンを持つ。医療に株式会社的経営を入れるには、そういう概念が必要だということですね。

中川 仕組みはつくらないといけない。今後、高齢者の人口は増えますが、全体のパイ自体は、それほど人口が増えるという読みにはなっていないし、赤字の病院もけっこう多いので、病院数はだんだん減っていくでしょう。

「医療と経営の分離」に関して言えば、ある程度の規模で、ある程度の個数の病院を、グループ経営していくやり方は、たとえ緩やかでも非常にいいと思います。事実、資本関係はないけれども、人事交流はある「○○病院グループ」という名称で活動しているケースはたくさんあります。そうすると、例えば部材1つをとってもロットが大きくなりますから、調達力が高まります。

――逆に言うと、病院長が理事長を兼ね、医療と経営が分離していない病院は、グループ経営など、イノベートされているところをモデルにするといい。

中川 そうですね。でも、そういうことに長けたお医者さまは、それほど数は多くはない。「医療だけに専念したい」という方に対して、私どもは、例えば「他の医療経営グループとお見合いしてみませんか」というお話をすることはあります。

この1、2年、環境も変わってきたせいか、病院を経営されている方の意識も「危機感」へと変わってきました。おかげで、何十億と大儲けできるということはないけれども、私どもがお役に立てる場面も確実にあって、今後もマーケットとしては広がっていくと考えています。

――「米国における公立病院改革とIHN~米国視察レポート」を出版されていますね。これはどのような経緯で作成されたのでしょう。

中川 都道府県は、地域医療計画を策定しなければなりませんが、平成18-20年は医療制度改革を踏まえ特に大きな見直しが求められた時期でした。そこで、自治体の方を招いてセミナーを開こうと思ったときに作成したものです。日本では各地域によって状況も異なるので、指針となるような教科書的答えを出すことはできない。しかし、アメリカのケースを調べてお伝えすることは、決してムダではないだろうと考えました。

一般書籍などもいろいろ出てはいますが、アメリカのケースで、「地域で実施された医療経営のイノベーション」、そして「これをネットワークで結んだ時に起こる経営の効率化」という部分にフォーカスして、編集しました。自治体からのご相談が、また増えてきていますので、増刷をかけているところです。

医療機関が求める“サービス”の提供。
医療マネジメントの連環を目指す


――医療は社会保障として、ある意味でバジェットが保証されています。今後御社としては、どのような戦略で医療分野に臨んでいくのでしょうか。

中川 会社は、少なくとも対象分野においてビジネスとして成り立つことが必要条件です。これに関しては、医療機関にとって“役立つサービス”を提供できるという、いまのスタイルがベースにありますし、おそらく件数は増えてくると思うので、業容拡大していければいいなと思います。

一方で、「日本の医療制度のあり方」に1つの方向性を提示できれば、と考えています。 医療、介護、ヘルスケア。これらは本来、一体のものですが、事業的には分断されています。これらを有機的につなぎ、マネジメントの連環を形成することに役立てれば、新しいビジネス・スキームを創設することも可能です。

これまでの蓄積、そして当社のメンバーも長年、医療分野のマネジメントに携わってきたので、日本独自の医療のグランドデザインを創るサポートや提案をできればいいなと思っています。

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