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医療分野に特化した経営ニーズへ、適確なソリューションを提供

2010/05/10
野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー代表取締役社長 中川順子氏

――現在の社員数は。また、日常的には、どのような仕事内容なのでしょうか。

中川 現在は21名で、コンサルティングと投資管理をしている人間とが、ほぼ半々です。
日常の仕事としては、クライアントから直接もあれば支店経由のこともありますが、相談を受けるとまず、内容をお伺いに行きます。その上でニーズを把握し、私どもが提供できるものなのかどうかを見極めて、「こういう内容の場合は幾らで、このくらいの期間で、こういう成果物を出せますが、どうしましょう」と、ご提案をさせていただきます。

私どもは、中に入り込んで調べたり、事務長としてサブで常駐したりというスタイルは取っていません。事務長はじめ、現場で働いている人たちに、私どもの知識や情報をお伝えして、その方々に解決を実行していただきます。おそらく、そこが商社系や独立系コンサルティング会社のスタイルと違うところだと思います。

「最初から入り込んでください」という方はあまりいないので、必要なら、例えば「毎週私どもが来ます」ということを提案しますが、まずは改善できるかどうかを探ってみるというスタイルをとります。ただ、事務長クラスの人を紹介してください、といわれることはあります。その場合は、常駐して何年もお勤めしてもらうことが前提になるので、まったく違う対応になります。

初期の相談、いわゆる概括的な話し合いの部分に関しては、無料です。その後、お話を聞いて何が問題点か見極める。まさしく人間関係の世界です。1回目の外交のときは、何が必要か、こちらも分からない、お客さまも分からない。まず、先方のニーズが、私どもが提供できるツールでお役に立てるかどうか、ある程度、把握できたら、そこからはお金をいただくという前提でお話をさせていただきます。

――具体的にはどのようなことをコンサルティングするのでしょうか。

中川 例えば、フルスペックを持ってなければいけない大学病院や大病院は別にして、民間で建て替えもしくは増築という場合、「近隣に、これだけ診療科目として持っているところがある」といったマーケット分析、競合状態を、DPC含み公表された情報ベースで調べてお伝えする。建築に関しては、設計会社の見積もりとは別に、私どもは独立した立場で、改築ないしは増築プロジェクトの事務局に対して、「設備が重すぎませんか」といったコンストラクションマネージメントや、合見積のサポートなどで、適正なコスト分析、その後の資金管理方法、適正な借入額を計算します。

お客さまの中には、複数の病院を管理されるにあたって、お医者さまではあるけれども医療は原則として行わず、マネージメントに徹し、ご子息や信頼できる医師に各病院を任せる方もいます。こういう場合は、自然発生的に経営と医療の分離ができている。ところが、普通はそこまでうまくは行きません。例えば、「儂の目が黒いうちは」とか、「患者さんがいるから」となると、体は一つしかないので、やはりどちらかに無理が生じてきます。

やはり、医療と経営の両方を1人がみるのは無理があり、種類の違う負荷は複数の人間で分けた方が良いのです。

長期的な経営ビジョンと、
新しいビジネス・スキームを探る


――医療施設・病院の経営コンサルティングは、アメリカでは、業態として確立しているのでしょうか。

中川 アメリカでは、医療分野の運営会社が、株式会社として存在していて、その傘下に病院ないしは医療法人をもつという形が存在します。「株式会社が、医療もしくは病院を経営して良いか」。アメリカはイエスです。日本は営利目的の法人はダメということなので、実質的にそういう形で担っているところがあるにもかかわらず、株式会社が実権を握って運営することは認められていません。

医療特区で、株式会社が病院経営に参加することは認められていますが、アメリカと日本では保険制度のシステムが違うので、単純には比べられないという難しさはあります。

日本の場合は国民皆保険で、最低限の医療を、被保険者が3割ないし1割負担で保証しています。原則そういう中にあって、もし日本で株式会社が病院経営をして良いとしたら、株主は何を求めて、そこに出資するのでしょうか。普通は「儲かる」と思うからです。すると、例えば現在のような低金利では、年率2%でも配当があればいいが、高金利になったとき、「利回りを10%にしてください」など、単純に株式会社の仕組みを放り込むと、歪みが生じるはずです。

つまり、診療報酬の“儲かるところ、儲かるところ”に行かざるをえない。従って、「美容外科のウエイトが高くなる」、「自由診療が認められている」「保険点数の高い手術を数多く実施する」などという歪みを生じることになります。歯科医の間でも、保険診療と審美歯科というように二極化していますが、これがより増幅される。

ただ、大切なのはビジョンだと思います。国家として「医療をどう位置づけるか」を考えるとき、日本の場合は、良い意味で“社会主義的”であり、国民皆保険は堅持すべきシステムだと考えています。

しかし一方で、いま何が起こっているかというと、「医療法人は公共財」という観念があり、みんなそういう意識でいる。でも、出資したのは個人。確かに医学部には税金が投入されていますし、税制も多少優遇があります。でも、経営は個人保証など一生懸命お金を借りて、病院を建てて、運営して頑張っておられます。
一方、医療法人は相続時に非常に難しい状況に置かれます。もし、キャッシュがなかった場でも、持ち分は脹らんでいるから高く評価される。では、「どうやってキャッシュをつくるか」。 病院を切り売りするわけにもいかず、建物、土地を売るわけにもいかず、結局、銀行から借金して相続税分を払う。そういうことが、起こるということは、病院にキャッシュないしは会計上の利益を残すインセンティブがなくなってしまうということです。残さないのかどうかは別にして、相続のことを考えると、残すインセンティブがあまり強くならない。

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