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医療分野に特化した経営ニーズへ、適確なソリューションを提供

2010/05/10
野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー代表取締役社長 中川順子氏

――野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリーができる前、現在の同社の業態に近いものを考えていましたか。

中川 1つのきっかけとして、プライベートで医師の知り合いが増えていたことがあります。一方、資本市場については、1996年くらいから急に抜本的な規制緩和がスタートしました。これまで株式会社などにとっては自由度が高まっていったのです。しかし、制度の違いから、現状でもまだ医療業界の方が資本市場を活用する手段は極めて限定的―というよりほぼない―状態でした。しかし、そのような中「医療に関連したマーケットをつくれないか」「医療分野で、金融が役に立つことがあるのではないか」「何か変化を起こさなければ」と、漠然とは思っていました。

当初の野村證券法人企画部の医療をターゲットとしたサポート部隊も、それなりに目的意識はあったものの、どれくらいビジネスになるかというところより、どちらかというと支店のサポートに重きを置いていたと思います。でも、支店のお客さまである医療関係者、例えば病院長や理事長からご相談を受ければ、対応できるチームだったということです。

お客さま個人として余剰資金があって運用されるという、あくまで證券の支店の仕事としての接点はありましたが、例えば税金の悩みを聞いたり、後継者の問題を相談したりというようなインターフェイスとしては、さほど認知されていなかったかもしれません。また、支店も野村證券のこうしたセクションで医療分野を担当しているということの認知度も低かったと思います。

医療と経営の分離。
事業承継と財務改善がポイント


――野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリーの対象顧客、事業内容、企業としてのミッションについて教えてください。

中川 まずは、コンサルティングです。「後継者」や「経営状況」に関して、医療法人の方で問題を抱えている方が顧客となります。「経営は疲れたので、医療に専念したい」「医療装置を病院規模の割には大きいものを入れてしまったが、うまく回らない」「財務内容がよくないが、何が原因かよく分からない」「忙しくて、経営分析をする時間がない」など。

こういうご相談を受けた場合、まず調査に入り分析する。そして問題に対するソリューションを提供する。だいたいは財務の問題から解決できることが多いので、その費用分析を示します。後継者の問題の場合は、会社のM&A以上に難しく、そこで働いているお医者さまの気持ちや、出身大学とか医局の病院の系列なども考慮し、まさにお見合いのような形で、ひたすら時間はかかるのですが、お客様と会話をしながら必要な時間をかけて相性を見てゆっくり後継者につなぐといった手法を取ります。

大きな規模では実現できていないのですが、唯一、資金調達で助けてさしあげることができるのは、医療法人が保有しているアセットを元にしてお金を調達すること。だいたい不動産が大きなウエイトを占めるので、流動化の形で、まず、その建物と土地をSPCに移して、それに投資家の方々を集め、擬似的なファンドの賃貸借にすることです。そうすると、バランスシートは軽くなります。減価償却などの負担はなくなりますが、賃料を支払うので、どちらがその医療法人にとってメリットがあるかを考えてを計算して、「こちらのほうがいい」という判断をしていただければ、ご提案します。

ただ、これはあくまで不動産の流動化という手法なので、リーマンショック以降は、家賃設定やローンの条件などから、現在は適切な条件でのサービス提供ができない環境にあるため、動きとしては止まっています。

――景気が上昇に転じてくれば、リートや不動産の流動化が再び軌道に乗る可能性はあります。そうなれば、医療と経営の分離という概念を持つ事業モデルをつくれますね。

中川 そういうことができればいいなとは思っています。2006年には、同じようなことを考えた会社が何社もあって、現在も存在はしています。しかし不動産市況が停滞して、銀行も自己資本規制の絡みでなかなか身動きがとりにくい。また、そういったリスクテイクをしてくれる資金を持った人が減って、ファンド専用の業者は、若干動きが止まってきているか、縮小気味だろうと思います。

また、このような動向は、医療・介護施設に関わらず、全体的な流れともいえます。従って、当社を含め、近接領域にいる企業は、もちろん投資だけではなく、コンサルティングのニーズはあるので、コンペティター同士ではありますが、一方で仲良くもしていて、ヘルスケアにかかわる企業として情報交換をしています。

それは何故かというと、全国の病院数に見るように顧客数そのものが多いので、お客さまのところでかち合うことがない。つまり、取ったとか、取られたとか、そういうことがない。マーケットそのものがこれからだということもあります。診療報酬が来年は上がりますが、医療経営にとって厳しい環境は変わりません。最近では、医療経営に携わる方々の中に危機感を持って、ご相談してくださる方が増えてきました。

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