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「赤ひげと天才」。医療界には両方の人材が必要

2009/07/06
ノバルティスファーマ株式会社代表取締役社長 三谷宏幸氏

―薬剤師などのコメディカルの活用、チーム医療の徹底なども、負担軽減のための処方箋だとされていますが。

三谷 それぞれに有効だとは思いますが、そうした多くの処方箋を、整合性もなく、場当たり的に採用するだけではダメです。まずは医療制度のあるべき将来像、グランドデザインをはっきりと描き、いまある要求にも応える形で、制度を少しずつ変えていくことが必要です。

将来像に到達するために、“じゃあ今はどうするんだ”という戦略的で、的確なマイルストーンを作っていかなければならないのです。さらに付け加えるとすると、「産業政策として医療を見る」という視点も必要ではないでしょうか。面白い産業、将来性のある産業として医療界を育成していく場合に、どういう将来像が考えられ、その将来像に達する途中のマイルストーンはどうあるべきかを考えるのです。

―医療制度のほころびが、いわば集中的にあらわれているのが地域医療の問題です。地域の医療を健全化するために、大学病院、総合病院、特定機能病院、開業医等のさまざまな医療施設の間で、これらの役割をうまく分担するモデルを作っていくべきではないかと思うのですが。

三谷 確かに、そういうモデル作りのために、地域で試行錯誤することも必要かも知れません。いわゆる「かかりつけ医」にしても、どこかの地域でテストをして、このシステムは日本に合う、合わないを見極めながら、医師育成の形をつくっていく必要があるでしょうね。

昔の開業医は、地域の中にはっきりと組み込まれていて、長屋の大家さんのような非常にわかりやすい役割がありました。往診はするし、夜中にも起こされる。だから、過剰労働になるとしたら、開業医だったわけです。ところが最近では、患者は、軽症でも大学病院などの勤務医のところに行く。気軽に救急車を呼んで、夜でも中核・拠点病院に行く。だから勤務医が過剰労働になって、時間の余裕もなくなってしまった。難しい手術をすると訴訟を起こされたりして、仕事も大変だから、若い医師たちの中には、勤務医よりも開業医に流れる傾向が出てきた。

しかも、最近はいわゆるビル診という開業医の形態も増えていて、開業医がその地域に住んでいるわけでもない。こうした変化を考えずに、「かかりつけ医」に、往診もするし、夜中も診察するという昔の開業医の姿を期待することは難しいと私は思います。

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