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「赤ひげと天才」。医療界には両方の人材が必要

2009/07/06
ノバルティスファーマ株式会社代表取締役社長 三谷宏幸氏

今回の「苦言・直言」は財界からのメッセージ第2弾。これまで医療に関連の深い分野で、多くの外資系企業の経営に携わってきたノバルティスファーマ株式会社代表取締役社長の三谷宏幸氏に、グローバルな視点から、日本の医療問題に関するご意見をうかがった。

(聞き手:日経BPクロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班編集長 桶谷仁志)

ノバルティスファーマ株式会社代表取締役社長 三谷宏幸氏

米国は研究の裾野がケタ違いに大きい

―三谷さんは、川崎製鉄時代に米国に留学され、帰国後はボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、日本ゼネラルエレクトリック(GE)、GE横河メディカルシステム、そして現在のノバルティスファーマにいたるまで、医療に関わりの深い分野で、多くの外資系企業の経営に携わってこられました。その三谷さんは、日本と欧米の医療制度の違いをどのようにご覧になっているでしょうか。

三谷 外国の話の前に、日本の医療の素晴らしさを、もっと多くの方に認識して欲しいと思いますね。ご存知のように、日本の平均寿命は圧倒的に長く、世界一です。この原因の100%が医療の成果ではないとは思いますが、医療が平均寿命を押し上げることに大きく貢献しているのは間違いありません。

また、日本の国民皆保険という制度も、非常によくバランスが取れています。米国では、かつてのクリントン政権時代に、皆保険に近いものを作ろうとしましたが、うまくいきませんでした。現在のオバマ政権でも、同じような試みをしようという動きがあります。このように、日本の医療制度には非常に優れたところがある。私は“皆保険制度を100%維持しろ”とは言いませんが、その良さをもっとはっきり認識する必要はあると思います。良さを認識した上で、その中で何を変え、何を残したいかという議論を戦わせることができれば、次の時代に向けたシナリオが、より具体的に描けるのではないでしょうか。

―外国の医療制度で、日本のお手本になりそうなものがありますか。

三谷 たくさんありますが、例えば、米国の臨床医をめぐる環境は素晴らしいですね。臨床医が前線に立って、医療をリードしていくための体制が非常によく整っています。米国の大部分の病院はオープンシステムを採用し、医師は既存の病院と契約して、自分の患者を入院させたり、高度な医療機器を使った検査や治療をすることができます。

その際、必要な他科の専門医、看護師、薬剤師、検査技師などの医療従事者と、フラットで、たいへん質の高い連携をすることができます。こうした米国の臨床現場の強みについては、いま新潟大学総合脳機能研究センターにいらっしゃる脳外科医の中田力先生が書いた『アメリカ臨床医物語―ジャングル病院での18年』(紀伊国屋書店)に詳しく書いてあるので、若い医師の方々にはぜひ読んでいただきたいですね。中田先生は、米国の郡病院で臨床を徹底してやってきた方ですが、先生の話を聞いていると、米国の臨床現場のすごさ、強さがよくわかります。時々アメリカ式にストレートな発言をされる方ですが、私は大好きな方です。

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