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グローバルな医療データベース構築に注力。日本の医師が世界水準で評価される社会を

2009/06/16
財団法人 国際科学振興財団会長 大竹美喜氏

ところが、日本の国内では、そうしたグローバルな基準に通じるデータは、オープンになっていないことが多く、容易に比較対照することができません。ですから、シアトルの研究者グループが日本の医療データベースを構築し公開したら、日本ではわからないことが米国では手に取るようにわかるという、不思議なことになるかも知れません。

それはデータの出所は各種学会や医学雑誌など同じ場所なのに、そのデータの扱い方とユーザーインターフェイスがまったく違うからです。

若い医師のインセンティブになる新たなキャリアを検討すべき

——次に、医師の教育に関するご意見をうかがえればと思います。21世紀医療フォーラムでは、この6月末に、「医学生・研修医」に的を絞ったGood Doctor NET Jr.というコーナーを立ち上げる予定です。若い「医学生・研修医」に向けてのメッセージをお願いします。

大竹 私は昨年、日本医科大学の医学部で特別講義をしました。その際、学生たちとのやり取りを通じて感じたのは、彼らには、社会人としての基礎力が足りないのではないかということでした。

これは医学部だけではなく、全ての学部の卒業生に言えることなのですが、他学部の学生であれば、そのほとんどは企業に入り、そこで社会人としての基礎力を学ぶことができます。ところが、医学部の学生は、そのような機会がないまま、医師になって社会に出てしまいます。

実は「医師の教育」には、この問題があると思います。もちろん医学部には非常に優秀な学生が多いし、技術的にも立派なものを身につけて卒業する場合が多い。しかし私が危惧するのは、社会人としての基礎力が足りないために、人間として不完全な状態で医師になってしまう可能性が無視できないことです。

そうだとしたら、医師になっても患者とのコミュニケーションもうまくとれず、本人も不幸ですし、患者の側でも無用な不安を抱えることになってしまいます。ですから、米国のように、大学4年間の教育を終えた上で、あるいは社会に出て何年かした後でも、強い意思を持って医師を志望する人が医学部に入って、専門分野を勉強するという制度が、もっと広く普及していいのではと思うのです。

——いわゆるメディカルスクールですね。米国式だと、学部4年間、専門4年間で、最低8年間は教育に費やすことになります。その後に、医療現場での研修も必要です。

大竹 一般教育を終えてから医学部に入るのでは、修業年限が長くなり過ぎるという議論もあります。また、メディカルスクールを卒業すると、すぐに開業する医師が増えるだろうという意見などもあって、さまざまな面で賛否両論があります。

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