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患者には、医療の“消費者”としての自覚が。医師には“現場の知恵”を活かす「現場知」が必要

2009/06/10
財団法人 国際科学振興財団会長 大竹美喜氏

ところが、通帳に残金があると、ご家族は飛んでくることがある。もう本当に、心は荒廃している。自分の義務を放棄して、施設に頼り切るところから、心の荒廃が始まるのではないかと思います。

——医師の中にも、いまだにパターナリズム(医療父権主義)が強く、自分は「お医者様」という態度の医師がいます。病気や治療法について丁寧に説明しない傾向が残っていて、その点に対する患者からの不信も根強い。

こうした双方の要因で、医師・患者関係が悪化しています。私たち21世紀医療フォーラムは、「患者様」でもなく「お医者様」でもない新しい医師・患者関係を、双方のコミュニケーションに基づいて作っていくべきだと思うのですが、いかがでしょう?

大竹 確かに、それは重要な視点ですね。私は、米国で前立腺がんの治療を受けました。米国では、医療チームと患者とのコミュニケーションがたいへん良好なことから、信頼関係が生まれ、手術に対する不安も軽減されました。

日本の場合は、ギスギスしているとまでは言いませんけれども、良好なコミュニケーションを図れないこともあります。医師の側が忙しく、時間を取れないという事情もあるかも知れませんが、もっと人間味のある、市民・患者(消費者)としての目線を持った医師になって、患者に接して欲しいと思います。

私は昨日も、東大の元総長で、現在は三菱総研理事長の小宮山宏さんとお会いしたのですが、そこで「現場知」という話が出ました。例えば、大学の教授というのは、狭いけれども、非常に深い知識をお持ちです。ただし、彼らには“現場に学ぶ知”=「現場知」というものが欠けているのではないかというお話でした。

大学教授が持っている深い知識は、生活者の我々から見て、直接役に立たないこともあります。本当に世の中のためになっているのか? そんな検証を常にしていないと、「現場知」の足りない、偏りのある学者になってしまう。

医療にも、全く同じことが言えるように思います。専門医の先生の中には、患者を診て、患者から学ぼうという意識が薄い人もいるように感じることもあります。そういう「現場知」に欠けた医師の態度が、患者と医師の間のコミュニケーションを阻んでいるのではないでしょうか。

——では、現在の医師、そして患者に求められる改善点は何でしょう?

大竹 医師、患者という前に、同じ人間同士としてどう支え合っていくかを本気になって考えるべきだと思います。お互いが“独りよがり”ではいけない。双方が思いやり、お互いに尊重、尊敬しあっていかないと、この関係はうまくいかないと思います。

先に触れた「健康医療市民会議」では、地域医療の現場がうまくいっている成功例を集めています。こうした成功例の中からも、改善点が学べると思いますね。(第1回おわり。第2回に続く)

*コメディカルコメディカルスタッフともいう。医師・看護師以外の医療従事者

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