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患者には、医療の“消費者”としての自覚が。医師には“現場の知恵”を活かす「現場知」が必要

2009/06/10
財団法人 国際科学振興財団会長 大竹美喜氏

——市民・患者の(医療費)負担増について、踏みこんだ議論をされているようですね。

大竹 制度論を含め長期的な視野で改革提案を目指していますから、当然、財源の話も出ます。必要な財源を得るためには、消費税、健康保険料の負担増も覚悟すべきといった意見も出されています。

国民には、権利があると同時に、自分たちの役割、義務、責任がある。こうしたことを果たさずにいつまでも、“望んだものが自然と得られる”というような考え方であってはならないのです。

患者は、言うなれば“医療の消費者”です。その消費者である患者が、きちんと医療を学ぶ、つまり患者という一面性だけから医療をみないで、医師やコメディカル*など医療側の立場、厚生労働省など行政の立場など、幅広い視点を持って医療の何たるかを知る必要があると思います。

——その点は、21世紀医療フォーラムでもよく話題になります。医療消費者が「患者」ではなく、「患者様」になってしまっている。日本の医療消費者=患者は、国民皆保険で、あらゆる医療機関にフリーアクセスできるという状態を、当たり前だと思い過ぎているようですね。

大竹 私が30年以上も主張していることですが、市民が国家に過度に依存するのは良くないのです。企業ができることは、企業が考えて行動する。市民は市民で、自分の役割、義務、責任をよく認識し、しっかり考えて行動する。そうしないと、国が持ちません。

今回、米国の大統領に当選したバラク・オバマ氏は、就任演説で「あなた方、国民の義務は何か?」と問いかけました。かつてジョン・F・ケネディも同じような問いかけをしましたが、「国が何かしてくれるのを待つのではなく、自分たち市民1人ひとりが国に対して何ができるかを考えて、実行する」という責任ある行動を促しました。

日本の国民皆保険制度は、実はとてもいい制度です。しかし、国民が最初から自分のやるべきことを放棄して、公の力に頼るという意識では、この制度は持たなくなる。やはりできることは自分で最大限やって、その上で国に頼るようにしないとダメなのです。

例えば、老人介護施設では施設側が気を利かせて、「お正月くらいは、老人を施設から家に連れ戻して、お正月を一緒に過ごしたらどうか」とご家族に連絡してもご家族はさっぱり迎えに来ないそうです。極端な話、老人が亡くなってお骨になっても、そのお骨さえ取りに来なかったりもする。

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