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臨床研修制度の見直しで「医師不足」は解消するのか? 

2009/05/27
社団法人 全国社会保険協会連合会 理事長 伊藤雅治氏

― ただ、現状では、臨床研修指定病院は互いに競争しあっていて、地域で連携するのは難しそうですね。地域の医療機関同士の連携にしても、医療計画の策定が都道府県の知事に義務づけられているはずであるのに、あまり進んでいないようです。

伊藤:地域医療計画については、もっと積極的にマスコミでも報道して欲しいですね。以前の医療法は、地域の病床数の総量規制を中心にやっていました。それが2006年の医療法改正によって、都道府県知事に、4疾病5事業について地域での医療提供体制の計画策定を義務づけました。

産科、小児、救急も含めて地域医療のしっかりした提供体制を作るのが、都道府県知事の大事な仕事になったのです。にも関わらず、妊婦のいわゆる“たらい回し”で問題になった墨東病院の件では、石原慎太郎東京都知事が、国の責任が大きいと主張しましたね。

地域医療計画は知事の仕事だと法律で決められているにも関わらず、その認識さえもなかったと思います。

将来的には「総合医」の養成を視野に置くべき

― いわゆる地域枠の問題はいかがでしょう。当初、厚生労働省は、都道府県別に研修医の募集定員に上限を設けるという案を出しましたが、自治体などからの反発で、2010年度は、2009年度並みの募集定員を認めざるを得ませんでした。

伊藤:私は、根本的な問題には目をつぶって、的はずれな議論ばかりしているように見えますね。医師不足、医師の過重労働、さらに看護師の不足といった各論の問題の背景にある根本的な問題は、小泉内閣以降の医療費の総額抑制策です。

問題を解決するためには、医療費の負担と給付の問題に踏みこんで、負担増の場合を含めた選択肢を、国民に示していかなければなりません。また、地域の産科、救急の体制が逼迫している問題は、知事が策定する地域医療計画の工夫によって、克服する努力が先決です。

こうした根本的な問題を議論せずに、臨床研修制度ばかりにフォーカスが当たり、研修医の偏在を是正することによって、問題が解決するかのように言われているのは大きな間違いです。

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