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臨床研修制度の見直しで「医師不足」は解消するのか? 

2009/05/27
社団法人 全国社会保険協会連合会 理事長 伊藤雅治氏

社団法人 全国社会保険協会連合会 理事長 伊藤雅治氏

医師養成のための臨床研修制度が揺れている。2004年度から導入された新しい臨床研修制度では、卒後2年間の初期臨床研修が義務化され、7科目の診療科をまわるスーパーローテートが必修とされた。
ところが、この制度が医師不足を招いた一因という批判を受けて、今年(2009年)2月、厚生労働、文部科学両省は、臨床研修の必修科目を7科目から3科目に減らし、都道府県ごとに研修医の募集定員の上限を設けるという見直し案をまとめた。
さらに、この見直し案も、地方自体体などから反発を受けたため、4月23日、厚生労働省は、経過措置として、2010年度の研修医募集定員を、09年度並みとする方針を決めている。
こうした臨床研修制度の見直しは、総合的な診断能力を持つ医師の養成という所期の目的からして、果たして妥当なのだろうか? また地域や一部診療科の「医師不足」の解消のために役立つのだろうか? 
厚生労働省時代に、現在の臨床研修制度の策定に大きく関わった伊藤雅治氏(社団法人全国社会保険協会連合会理事長)に聞いた。

(聞き手:日経BPクロスメディア本部プロデューサー 阪田英也 構成:21世紀医療フォーラム取材班 編集長 桶谷仁志)

臨床研修制度は、総合的・全人的な診療能力を養成することが目的

― 伊藤さんは、1990年代から2000年代初めにかけて厚生労働省(当時は厚生省から厚生労働省に)の保健医療局長、健康政策課長、医政局長を歴任され、現在の臨床研修制度の策定に大きく関わったと聞いています。そのお立場から、今回の見直し案をめぐる動きを、どのように見ていますか。

伊藤:ひと言でいうと、たいへん不満ですね。2004年度から実施されてきた臨床研修制度は、そもそもなぜ批判され、問題視されるようになってきたのでしょうか? 私の理解では、新臨床研修制度によって、旧態依然とした大学病院などの病院が、研修医から選ばれなくなってしまったからです。

 新臨床研修制度によって自由な立場になった若い医学生たちは、さまざまな病院の研修プログラムを自らチェックし、研修先の病院を自分の判断で選んでいった。その結果、選ばれなくなった一部の大学病院は、それまで医師を派遣していた地域の病院から医師を呼び戻し、派遣を受けていた側の病院が非常に困るという事態を招きました。

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