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日本の医療は、医師の「倫理観」で支えられている (2)

2009/04/30
東京慈恵医科大学附属病院 院長 森山 寛 氏

――開業医も、後輩に教えるのは新鮮だろうし、その連携をもっと進めれば、開業医を含めた医師の生涯教育にも、貢献できるシステムがつくれるかも知れませんね。

森山 生涯教育では、「医師免許の更新制」の是非がいつも議論になります。私の意見では、更新制も中身の問題なんですよ。一部の医師は、更新制というと、すぐに首切りだという反応をする。年間に一定数の手術をしていないと、免許を更新してくれないのではないかという恐怖感があるから、議論が前に進まない。

 そうではなくて、学会出席や日本医師会の講座も含めて、一定期間内にどれくらい勉強したかを証明するための制度にすれば良いのです。米国の更新制の場合でも、通常であれば更新時に免許を取り上げることはまずないように聞いています。

 いずれにしても、日本の場合は、いま各学会で、専門医資格の更新制を導入しています。日本耳鼻咽喉科学会の場合は、4年ごとに認定の更新をしています。

 ただ、更新の条件は、まだ「学会に参加する」ことを義務づけている程度です。これをもっと具体化して、例えば、「地域の救命救急の研修に何回参加したら、一定のポイントを与える」というような形で、医師としての技術力、臨床力をキープできるような更新制にしていかなければならない。そういう更新システムを作らないと、国民も納得できないのではないでしょうか。

標榜できる診療科は、1つか2つにすべき

――専門医の学会は、認定の基準が学会によってばらばらですね。また専門医に認定されていなくても、医師免許さえあれば、麻酔を除くどの診療科を標榜するのも自由になっています。

森山 その点は、いま社団法人の日本専門医制評価・認定機構というところで盛んに議論をしています。医師が1人しかいない診療所でも、3つも4つも診療科を標榜しているところが少なくない。

 それを、専門医の認定を取った診療科しか、標榜しないようにしようと呼びかけています。基本的に標榜できるのは、専門医として認定された1つの診療科にする。人によってはサブスペシャリティとして、他の専門医を取得できればもう1つ標榜できる。例えば内科と皮膚科といった場合です。

 このように医師も、自ら身を正していくべきです。例えば、“日本医師協会(連盟)”のようなものを構成し、全ての医師はそこに帰属し自律すべきではないかと考えています。例えば専門家で構成される医療事故の調査委員会も、“日本医師協会”のような組織の中に置いて、自ら調査し、原因を究明し改善策を提言する体制になるのが本当です。

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