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日本の医療は、医師の「倫理観」で支えられている (1)

2009/04/15
東京慈恵医科大学附属病院 院長 森山 寛 氏

 その後も、4年生の期末になるとCBT(Computer Based Testing)という共用試験があって、学生は医学知識の面で一度、ふるいにかけられます。さらに、最近、各大学で普及しつつある評価が、オスキー=OSCE(Objective Structured Clinical Examination=客観的臨床技能試験)です。これは、模擬患者を使って、ペーパーテストではわからない学生の臨床能力を客観的に評価できる試験で、将来的には、医師国家試験にも導入されるでしょう。

 こうした試験が完璧に運用できれば、卒前教育の時点で、医師としての適性はかなり正確に見定められるようになるでしょう。もっとも、これほど試験、試験でぎゅうぎゅうにやる必要があるのかについては、私には少し疑問があります。いまの学生は、勉強が忙しくて、高学年になるとクラブ部活動も制限されるんですね。

 昔は、6年生になっても「部活で夏休みに2‐3週間いない」とか、「医師国家試験が近づいても、チョット後輩の様子を見に部活の合宿に行く」というような学生がずいぶんいた。部活は一種の人生勉強だし、そういう経験もしておかないと、幅広い人間性は養えないという考え方もできます。学生時代は、このように部活や趣味を中心とした“人生勉強”に重きを置き、医学部を卒業してから、心機一転して猛勉強する若い医師が昔はけっこういたんですね。

 また、その頃はカリキュラムにも余裕があったし、医師になってあわてて勉強するような医師のほうが人間味があって、臨床医としては良い医師になるケースもたくさんあった。私の実感としても、昔の学生のほうが今よりゆったりとしていましたね。

 さらに、医師国家試験だって、必死にやらないと合格しないような難しい試験ではありませんでした。多くの学生にとっては、試験の1カ月くらい前に、ちょっとおさらいしておけば良いくらいのもので、それでも合格率は94~95%以上ありました。

 現在の学生は学ぶことが多くて本当にたいへんだし、よく勉強していますよ。むしろ、学生には、もっと余暇を楽しんでもらい、もの思う機会を、意識的に作ってやったほうが良いのかも知れないと、私は思っています。

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