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卒後臨床教育のあり方を問う(2)
限りなく客観的な判断が求められる医療が独善的にならないために

2009/04/08
独立行政法人国立病院機構・京都医療センター院長 藤井信吾 氏

(構成:医療コラムニスト 21世紀医療フォーラム取材班シニアライター 田野井真緒)

 前回は、藤井氏の産婦人科医としての経験を中心にお話をうかがった。今回は、長い臨床経験から得られた、あるいは教育者としての経験から、卒後臨床教育についてお聞きした。藤井氏は「医療には、限りなく客観性の高い判断が要求される。教える側に余裕のない今の臨床教育では、独善的でない質の高い医療は実現できない」という。藤井氏の言葉はときに峻烈に、ときに若い医師への暖かい眼差しにあふれていた。

「医師としての自立心と自信」は両刃の剣

─先生は信州大学で7年間、京都大学では約10年間、臨床教育に携わってこられました。先生の時代に比べて若い医師達の意識は変わりましたか?

藤井 若い医師達は間違いなく自分の知識不足・技量不足を自覚しています。しかし、だからこそ、この時期の医師の心は純粋で、かつ謙虚です。すべてに対して白紙に近い心で患者さんに接しているように感じられます。ですから、私たちの時代と今で、若い医師の考え方や意識は大きく違わないのではないかと思います。

 いずれにしても、若い医師は経験を積むごとに、今後の医師としての活動に不安を感じたり、自信を深めたりを繰り返し、やがて医師としての自信と自立心が芽生えてきます。自信と自立心は、医師として重要な要素ですが、自信と自立心ばかりが強くなると独善的な医療に走りやすくなります。それは結果的に自己中心的な医療につながります。一方、自信と自立心が揺れるタイプは同僚医師や先輩医師に相談することによって、独善的な医療に陥らない可能性があります。

 さらに、医師として自信と自立心をもちながら、それでもなお常に基本に戻って自らをみつめなおすことができる医師はバランスのとれた医療を行い、医師としての活躍が大いに期待できます。
(参考図:「自信と自立心の芽生え」藤井氏資料より)

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