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「医師不足」問題の根底にあるもの
~外科医はゴッドハンドを持っているわけではない。(2)

2009/03/17
門田守人 氏 (大阪大学副学長)

図10「GDPに占める医療費」

日本の医療費はパチンコ業界の売上並み

――長時間労働、高度な医療にインセンティブを与えるためには、現在の医療費抑制政策も転換する必要があるのでは。

門田 そもそも日本の医療費は、政府が言うほど高いのだろうかという問題があります。厚労省は一貫して「これ以上、医療費を増やしたらたいへんなことになる」という立場ですが、果たして本当にそうだろうか。

GDPに占める医療費の比率は、G7各国の中で、日本とイギリスがビリを争っている状況です(図10)。日本では、1970年に医師を増やすために1県1医大という拡大政策がとられました。その後、医療費が増大したために、1983年に「医療費亡国論」(超高齢化社会に向けての医療費増大は国を滅ぼすとの論。当時の保険局長・吉村仁氏が発表した)が出され、これに基づいて医療費抑制政策が現在まで続いています。

図11「日本の医療費は高いか?」

そのために医療費の対GDP比は8%となり、OECD30カ国中21位となっています。OECD各国の平均9%よりも1%低く、G7の中では、イギリスに抜かれて最下位となっています。医療費の31兆年を、国内のほかの支出と比較してみましょう(図11)。

医療費はパチンコ業界の売上とほぼ同じです。また、葬儀代金15兆円の約2倍でしかありません。日本の公共事業費85兆円は、G7の中で、日本を除く6カ国の公共事業費をすべて足した額よりも多くなっています。この公共事業費に比べて、国民の生命、健康を守る医療費は少なすぎると感じる人は多いのではないでしょうか。

事実、医療費抑制策は、日本の医療の質を下げ、そのために国民は損をしているのです。医療の質を守るためには、医療費をどの程度の適正レベルまで引き上げるべきかという形の議論が必要だと思います。

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