日経メディカルのロゴ画像

「医師不足」問題の根底にあるもの
~外科医はゴッドハンドを持っているわけではない。(2)

2009/03/17
門田守人 氏 (大阪大学副学長)

図8「勤務先別外科医平均収入」

――偏在の最たるものは、勤務医の不足ですね。

門田 先に見たように、勤務医の労働条件は過酷な上に、収入の面でも恵まれていません(図8)。病院勤務と診療所勤務(開業医を含む)を比較すると、30代まではほとんど差がありませんが、40代で差が開き、50代で相当大きな差になります。

しかも、この収入は、いわゆるアルバイトの収入を加えた金額です。勤務医は、長時間労働の上に週末などにほかの病院でアルバイトをして、収入を確保しているケースが多い。
外科医である本人は、土日も休まず働いて、夜中に呼び出されても、好きでやっている仕事なので苦にならないかも知れませんが、家族はたまりません。

私自身の長男も、あんな仕事はしたくないと言って、医師になろうとはしませんでした。最近だと、子供よりも先に、奥さんが耐えられないでしょうね。そうすると本人も、できるだけ楽な診療科へ、勤務医よりも開業医へと、顔が向いていくようになります。

――医師の偏在を修正するためには、どうしたら良いのでしょう。

門田 診療科間の偏在を修正するためには、過酷な労働をしている医師に、それに見合うだけの報酬を出すことだと考えます。長時間労働をしていたり、夜中に呼び出されて働いた時間などをきちんと計算して、それに応じた収入を保証する。それだけでも、ずいぶん違うと思います。

図9「米国における医師の平均給与」

また、より高度な医療の価値を認めて、それだけの報酬を与える。超一流の外科手術をしている医師には、それだけのインセンティブを与えるのです。米国の医師の収入は、提供する医療が高度で専門的になるほど高くなります(図9)。内科医が12万ドルなら、一般外科医は24万ドル、血管外科医が37万ドル、心臓血管外科医が55万ドルというように、専門性が高くなるほど給与が高くなります。

一方、日本では仕事内容とはほとんど関係のない形で、給与が決まっている。これでは、しんどい診療科を志望する医師が減るのは当たり前でしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップページトップインタビュー > トップインタビュー 新着一覧

トップインタビュー 新着一覧

この記事を読んでいる人におすすめ