
東邦大学医療センター大森病院小児科准教授 松裏裕行氏
日本小児科学会でこのプロジェクトを中心となって担当した医師の1人、東邦大学医療センター大森病院小児科准教授・松裏裕行氏は、メッセージの真意を次のように補足する。
「これは病院へのアクセスを制限する、ということではありません。軽い病気なのに、わざわざ病院まで出かけていって、何時間も待ち、1回分の薬をもらうなどの非効率な受診をしないて済むようにする。それが患者さんのためにもなるし、小児科医の夜間救急外来での負担軽減にもつながります。このメッセージが奏功して、軽症の小児患者の「小児救急」への受診を減らせば、小児の重症患者に割く時間を増やして医療の質を上げられます。そして、それが医療事故防止にもつながるのです」。
母親のための救急&予防サイト「こどもの救急」は、生後1カ月〜6歳までの小児を対象にしている。制作にあたって、一番こだわったのは、どういう方針で作るかというコンセプト立てだという。
まず、病気の説明をするよりも、「自宅で様子をみてよいのか」それとも「病院に行った方がよいのか」という、判断に主眼を置いている。
例えば、吐き気をクリックすると、さらに「生後3カ月未満である」「何度も繰り返し吐く」「がまんできないほどの激しいおなかの痛みを訴える」・・・といった項目が示され、該当する項目にチェックを入れ、「結果をみる」というボタンを押すと、症状に応じて、「おうちで様子をみましょう」、「自家用車・タクシーで病院に行く」、「救急車で病院に行く」という3つの選択肢の内1つが出るようになっている。
次はケースを絞り込んで、簡潔にしたことである。ヤケドでも、熱湯をかぶったら、慌てて病院に駆けつけるし、けいれんが止まらない赤ちゃんの場合も救急車を呼ぶので、それらは最初から省いてある。救急外来でみる機会が多い、「発熱」、「けいれん・ふるえ」、「吐き気」、「泣き止まない」、「ウンチが変」などといった気になる19の症状が並べてある。