日経メディカルのロゴ画像

県境を超えた医療福祉の連携。まずは実践的な病院情報の発信を

2009/05/25
医師・作家 米山公啓

 連携を救急医療に限っていることも、また問題がある。私が以前から提案している医療省のようなものを作り、散らばっている病院を一括で管理するシステムにしない限り、知事単位で細かく話し合いをしたところで、大きな進展は期待できないのではないだろうか。

 空きベッドをきちんと公開して、それを地域全体で管理していくことが可能にならない限り、周辺の病院を連携させようというレベルでは、専門的な医療を必要とする患者を適切な医療施設へ運ぶことはできないだろう。

 患者心理からしてみれば、いい病院であれば、多少遠くであろうと他の県にあろうと、受診したいと思うのが普通であろう。それを行政が分断しているのが現状だ。地域の救急医療ですら、うまくいかないものを、隣り合う地域での連携だけでうまくいくとはとても思えない。

 本来、それはすでに「地域医療計画」として知事に義務付けられているはず。だからこそ、今回のこの動きについてはどうも理解しがたいものがある。

 そんなことより、住民にどんな救急医療機関があって、どんな専門医がいて、この病気にはここの救急医療センターへ行くべきというような、より実践的な病院情報の発信が先なのではないだろうか。

 現実的には開業医ですら、その情報を持っていないのだ。連携とはそういった地道な情報公開と情報の共有が先にあるべきだろう。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップページ米山公啓のニュースの読み方 > 米山公啓のニュースの読み方 新着一覧

米山公啓のニュースの読み方 新着一覧

  • 分業化が必要な時期に来ている日本の医療(2009年7月30日)
    医師・作家 米山公啓

     財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は医師不足の解消に向けた改革案を提言する。医師になる際に選ぶ診療科(内科や外科など)の規制や、看護師の医療行為を広げることなどが柱。医療機関向けの診療報酬が年末に改定されるのを前に、医療サービスを効率的に提供する体制づくりを優先させ、引き上げ論をけん制する狙いもある。(続きを読む

  • 末端の開業医には、パンデミック情報は、何も届いていない。(2009年7月13日)
    医師・作家 米山公啓

     新型インフルエンザの発生国に渡航していないなど感染の疑いがないのに発熱患者の診察を拒否する医療機関が相次いでいる問題で、厚生労働省は7日までに、都道府県を通じて医療機関に対し、適切に診察することを求める通知を出した。 発熱などの症状を示した人への診察拒否については、東京都が6日正午までに都内で173件あったことを確認。舛添要一厚生労働相は6日に開かれたインフルエンザに関する対策会議で「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してほしい」と求めた。 同省の通知では、発熱患者が保健所などの発熱相談センターの指示に従って一般の医療機関を受診した場合、患者にマスクをするなど感染予防を指導したうえで、診察を(続きを読む

  • 県境を超えた医療福祉の連携。まずは実践的な病院情報の発信を(2009年5月25日)
    医師・作家 米山公啓

     首都圏1都3県の知事と政令市長でつくる8都県市首脳会議が23日、東京都内で開かれ、医療福祉分野での連携強化で合意した。救急医療機関の情報システムや搬送システムの相互乗り入れで県境を越えた患者の搬送の円滑化などを検討する。救急医療や周産期医療から着手し、将来はコンソーシアム(連合体)の形成も視野に入れるとしている。 会議では、埼玉県の上田清司知事が「医療政策は都道府県単位だが、首都圏では患者の出入りが頻繁で、県境では他県の病院の方が近いというケースもある」と指摘。患者のたらい回しなどが問題となっている救急医療や周産期医療などから連携を強めるべきだと提案した。(中略) 東京都の石原慎太郎知事は「県境(続きを読む

  • 日本医療事務センター、医師の事務補助者を派遣。まず養成講座開設(2009年5月14日)
    医師・作家 米山公啓
  • 強制的派遣で研修医を地方へ誘導しても、研修医の過重労働は変わらない(2009年4月7日)
    医師・作家 米山公啓
  • 国立国語研が「イレウス」「QOL」など57語について提案(2009年3月27日)
    医師・作家 米山公啓
  • 日本医師会が「第3回 喫煙意識調査」の結果を発表。(2009年3月7日)
    医師・作家 米山公啓

この記事を読んでいる人におすすめ