連携を救急医療に限っていることも、また問題がある。私が以前から提案している医療省のようなものを作り、散らばっている病院を一括で管理するシステムにしない限り、知事単位で細かく話し合いをしたところで、大きな進展は期待できないのではないだろうか。
空きベッドをきちんと公開して、それを地域全体で管理していくことが可能にならない限り、周辺の病院を連携させようというレベルでは、専門的な医療を必要とする患者を適切な医療施設へ運ぶことはできないだろう。
患者心理からしてみれば、いい病院であれば、多少遠くであろうと他の県にあろうと、受診したいと思うのが普通であろう。それを行政が分断しているのが現状だ。地域の救急医療ですら、うまくいかないものを、隣り合う地域での連携だけでうまくいくとはとても思えない。
本来、それはすでに「地域医療計画」として知事に義務付けられているはず。だからこそ、今回のこの動きについてはどうも理解しがたいものがある。
そんなことより、住民にどんな救急医療機関があって、どんな専門医がいて、この病気にはここの救急医療センターへ行くべきというような、より実践的な病院情報の発信が先なのではないだろうか。
現実的には開業医ですら、その情報を持っていないのだ。連携とはそういった地道な情報公開と情報の共有が先にあるべきだろう。